4つのコンセプト

古典芸能の継承と再創造

横浜能楽堂は、高い企画・制作力によって知られる、日本の古典芸能のアーツセンター。
能を始めとする日本の古典芸能の上演だけに止まらず、
海外とのコラボレーションにより新たな作品も生み出しています。

多角的な視点から
能・狂言を問い直す

横浜能楽堂は、独自の切り口で、能・狂言の上演を行っています。

特別企画公演「武家の狂言 町衆の狂言」(2009年)では、同じ大蔵流であるにもかかわらず、狂言の世界で対極的な芸風で知られる山本家(東京)と茂山家(京都)の狂言を一味違った趣向で見比べる公演を実施。

桃山時代の能の姿を学術的な考証に基づいて蘇らせた「秀吉が見た『卒都婆小町』」(2002年)、ワキに焦点を当てた6回シリーズ「ワキとシテ」(2004年)、150年前に海外に流出した能装束を復元し能を上演した「海を渡った能装束」(2009年)など話題の企画を次々と生み出しています。

企画公演「秀吉が見た『卒都婆小町』」(山本順之)

日本×カナダ共同制作公演「Susuriwka –willow bridge」
(サンティ-・スミス)

伝統を軸とした
幅広い国際交流

横浜能楽堂では、古典芸能を架け橋として様々な国との文化交流・共同制作事業を実施しています。

「日韓古典芸能祭」では、日本と韓国を代表する名手が出演。2000年から3年間に渡って韓国側と共同で開催しました。また、2005年には、日本、韓国、バリ、タイの古典舞踊家と共同制作を行い、アジアの古典芸能分野での交流を深めています。

2009年からは、伝統を軸に活躍する日本とカナダの先住民族出身のアーティストとの事業を実施。日本の先住民族アイヌ出身の音楽家OKIと、カナダ先住民族モホーク出身の振付家サンティー・スミスによる新作ダンスの企画・制作を行いました。

多様なニーズに応え
「敷居を低く」

横浜能楽堂では幅広い観客に能・狂言の本質を知ってもらいたいと、多様なニーズに応える事業を実施しています。

「勝手に決めました 毎月第2日曜日は狂言の日」をキャッチフレーズに毎月開催している「横浜狂言堂」。初心者でも気軽に能楽堂に足を運んでもらえるようチケットは2,200円、解説付きの狂言2曲という公演です。

能・狂言のワークショップや教室も開催。夏休み中の3日間で、小中学生に狂言に親しんでもらおうと実施している「こども狂言ワークショップ~入門編~」は、開館した1996年から続いています。また、障がいをお持ちの方も、能・狂言を楽しめる環境づくりを目指し「バリアフリー能」も実施しています。

バリアフリー能はこちら

普及公演「横浜狂言堂」(茂山千三郎)

古典芸能を土台に
新たな伝統を創造

古典芸能がこれからも生き続けるためには、伝統の継承と共に、再創造の努力が欠かせません。

2006年から4年間開催した「横浜あかりアーツコラボレーション」では、能楽堂を飛び出して事業を実施。「都市空間」の中で演じられる「古典芸能」を世界的照明デザイナー・石井幹子の「あかり」で包み込み、これまでに無い新たな芸術の世界を生み出しました。横浜みなとみらい地区の「ドックヤードガーデン」で演じられた「声明」、横浜美術館前で一夜限りの「劇場」をつくり出し演じられた日中韓の古典舞踊など、古典芸能の新たな可能性を追求しました。

2011年には「平成版 浄瑠璃姫物語」を制作。浄瑠璃の原点である「浄瑠璃姫物語」を琵琶奏者の上原まりと文楽人形遣いの桐竹勘十郎の顔合わせで、現代語を使った新作として甦らせ、初演しました。

「横浜あかりアーツコラボレーション2006」
(真言聲明の会)

主な受賞歴

催花賞
2004年
日本で唯一の能楽研究所をもつ法政大学が授与する能楽界で最も権威のある賞。
「新時代における能楽堂の在り方を示した」として受賞。
JAFRAアワード
(総務大臣賞)
2006年
文化による地域振興を目的として設立された財団・地域創造が
先駆的な公共文化施設に贈る賞。
「敷居の低い能楽堂の独創的な取り組み」を評価され受賞。
文化庁芸術祭優秀賞
2009年
1946年から開催している文化庁芸術祭の一環としてコンクール形式で贈られる賞。
特別企画公演「武家の狂言 町衆の狂言」の企画・制作に対して受賞。
文化庁芸術祭大賞
2015年
企画公演「琉球舞踊 古典女七踊」の企画・制作に対して受賞。
「“伝統の再創造”という観点からも上演の意義は極めて大きい」と評価された。
バリアフリー・
ユニバーサルデザイン
推進功労者表彰
「内閣府特命担当大臣
表彰優良賞」
2015年
バリアフリー・ユニバーサルデザインの推進に顕著な功績があった個人や団体を表彰するもので全国の劇場で初めて受賞。
2000年から横浜能楽堂では、芸術・文化分野における「共生社会の実現」のため、障がい者も健常者も一緒に能・狂言を楽しんでもらえるよう、様々なサポートを取り入れた「バリアフリー能」を開催している。

関連記事へのリンク

横浜能楽堂館長でエグゼクティブプロデューサーの中村雅之がPerforming Arts Network Japan で
プレゼンターインタビュー(2009年)に取り上げられました。
横浜能楽堂の事業について詳しく紹介されています。記事はこちらから。

http://performingarts.jp/J/pre_interview/0901/1.html

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