横浜能楽堂が取り組んだ事業

横浜能楽堂では、平成8年の開館以来、より多くの方に能・狂言をはじめとする
古典芸能に親しんでもらえるように、幅広い取り組みを行ってきました。
多角的な視点から能・狂言の魅力を発信する事業や、幅広い層に能・狂言を知っていただけるよう、
多様なニーズに応えた事業など。ここでは、その一部をご紹介します。

主な事業

企画公演、特別公演

2002年11月「秀吉が見た『卒都婆小町』」

上演時間が現在の約60%だったとされる、桃山時代の能の芸態を復元させた公演。様々な分野で活躍する研究者・専門家らとプロジェクトチームを組み、装束、囃子、謡、舞などを学術的な考証に基づいて蘇らせ、現在の演じ方の「卒都婆小町」と復元された演じ方の「卒都婆小町」、2曲を1日で上演しました。復元された「卒都婆小町」は、老女物として重々しく演じられる現在の演じ方とは対照的に、華やかな「桃山」という時代の雰囲気を反映させる、軽やかで大らかな舞台となり、大きな反響を得ました。

2014年11月「琉球舞踊 古典女七踊」

琉球王国の式楽として発展した琉球舞踊の中で、最高峰の曲として知られる七つの古典女踊(「作田」「かせかけ」「天川」「柳」「伊野波節」「本貫花」「諸屯」)を現代を代表する舞踊家により、一挙上演しました。高い芸術性と企画性が評価され、本公演は、第69回 文化庁芸術祭の舞踊部門・関東参加公演の部で大賞を受賞しました。関東の公立劇場の受賞、また琉球芸能の大賞受賞は初めてのことで、大きな話題となりました。

2022年4月~6月 特別公演「三老女」

「三老女」と総称され、能の中でも最高の秘曲である「姨捨」「檜垣」「関寺小町」を、3か月連続で上演しました。能において「老い」を表現するには熟練した技術が必要とされ、中でも「三老女」には、高い精神性と芸位が求められます。本公演では、各役に、当代一流の役者を揃え、名人の至芸で堪能できるまたとない機会となりました。

2023年2月「能役者 鵜澤久」

確かな技術と曲に対する深い洞察力で、古典作品の上演だけでなく、現代演劇に参加するなど新しい試みにも積極的に取り組み、男女の性別を超えて活躍を続ける鵜澤久の芸を取り上げ、師である観世寿夫が現代音楽とコラボレーションした一柳慧作曲の「プラティヤハラ・イヴェント」、古典の能から女の情念が鋭く描かれた名曲「卒都婆小町」を上演しました。鵜澤久は、ポーラ文化賞を受賞。授賞理由に本公演の成果も挙げられました。

横浜狂言堂 2008年1月~

「横浜狂言堂」は、「第二日曜日は狂言の日」をキャッチフレーズに、解説と狂言2曲をお手頃価格で楽しんでいただく公演です。平成20年1月から毎月公演を重ね、上演回数は190回を超えました。初心者でも足を運びやすいと好評で、狂言やそれぞれの家の魅力を知ってもらい、狂言ファンを増やしている公演です。

バリアフリー能 2000年3月~

障がいのある方や能楽初心者でも能・狂言に親しめるように、介助者1名無料、点字チラシ・パンフレット、音声ガイド、手話通訳、上演時字幕配信など様々なサポート態勢を整えて実施している公演です。各障がい者支援団体等へ赴き、取組み内容やサポートについてヒアリングを行い、毎年改善を重ねてきました。2015年には、バリアフリー・ユニバーサルデザイン推進功労者表彰「内閣府特命担当大臣表彰優良賞」を受賞しています。

こども狂言ワークショップ 1996年8月~

小中学生を対象とした狂言のワークショップです。本ワークショップは、「入門編」「卒業編」「発表会」という一連の流れで実施し、鑑賞、実技体験、稽古、発表と段階を追って取り組むことで、初めて狂言に触れる子どもたちでも理解を深めながら狂言に親しみ、興味をもって体験できる機会を提供しています。
講師は、狂言方大蔵流の名門・山本東次郎家が務め、狂言の実技だけでなく、礼儀作法や、古典芸能の持つ、日本人が受け継いできた精神性を学べると好評です。