スタッフブログ

2021年05月29日 (土) 能楽関連

横浜能楽堂催し物案内『橋がかり』2021年6月~7月を発行しました。

横浜能楽堂では館内で行われるイベントなどを掲載した情報紙を月一回定期発行し、他の公共施設や友の会会員様向けに送付しています。このたび、スタッフブログにもデータ版を掲載することにしました。

今月号(2021年6月~7月)は6月から10月の主催公演と8月の「こども狂言ワークショップ~入門編~」募集案内、6月の「開館25周年記念 身近に楽しむ能楽堂」などの情報を掲載しています。ぜひご覧くださいませ。

 

『橋がかり』2021年6月~7月はこちら

 

はぜの木

2021年03月05日 (金) 能楽関連

「能楽師(太鼓方)が案内する横浜能楽堂見学と太鼓ワークショップ」を開催しました。

横浜能楽堂では平成30年度より能楽師が舞台や楽屋を案内して能楽の体験をしていただく催しを実施しています。今年度は狂言方と太鼓方によるご案内で、2月23日(火・祝)に「能楽師(太鼓方)が案内する横浜能楽堂見学と太鼓ワークショップ」を開催しました。講師は、太鼓方金春流の梶谷英樹さんです。ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました。当日の様子をご紹介します。

 

まず初めに、本舞台の見所で梶谷さんのデモンストレーションを鑑賞しました。
太鼓の音と掛声のみなのですが、ものすごい迫力にまず圧倒されました。

 

その後に囃子方の4種の楽器、能舞台と能の歴史についてのお話を聞きました。
囃子方のハヤスという漢字には、「栄やす/映やす」という字があるように、囃す相手を映える/映えるように囃すという意味があるそうです。太鼓は4種の楽器のリーダーで指揮者役、能の後半のメインの場面で演奏します。
横浜能楽堂の本舞台の歴史の中で、旧高松藩松平家にあった染井時代には、梶谷さんの師である22世宗家金春惣右衛門さん、23世國和さんがお住まいになっていたことがあり、梶谷さんのお祖父様、お父様もお稽古に通っていたのだそうです。梶谷さんにとっては、この舞台にはとてもご縁があり親しみを感じる、というお話が印象的でした。

 

そして、白足袋に履き替えて楽屋に移動し、焙じ室・楽屋・鏡の間を見学しました。
鏡の間では、公演が始まる際の囃子方が楽器の音色の調子を合わせる「お調べ」の座る順番や、幕を左右両方ともに上げる「本幕」で出入りすることは太鼓方はありませんが、たった一曲だけ太鼓方が本幕で戻る重い曲「朝長 殲法」のお話など、囃子方からみた能のお話を聞きました。
続いて、公演時に囃子方が舞台に出る際と同じように幕を左の片方だけ上げる「片幕」にして参加者の皆さんが本舞台へ。

 

舞台の上で太鼓方から見た舞台の説明を聞きました。例えば、シテが舞台に出てきて止まって謡い出す場所を橋がかりにある一の松にするか、本舞台の常座にするかは事前に打合せをしており、一の松はとても重要な目印となるなど、太鼓方ならではのお話もあり興味深かったです。
また、太鼓方は能の公演では本舞台中央に座ることは無いため、梶谷さんはデモンストレーションではいつもと景色が違い、緊張していました、とのことでした。

 

後半は舞台から楽屋に移動して太鼓体験です。
太鼓を打つ前に、太鼓の組み立てを見学しました。太鼓は牛の革と欅の木の胴と縦と横の調べ緒、樫の木の台から構成されます。

 

組み立ては、縦の調べ緒を手繰り寄せて解いて結んで、また手繰り寄せて解いて結んで、を何度も繰り返しきつく締め上げます。かなり締め上げたところで音を確認して、今度は横の調べ緒をきつく締め上げます。なんと力のいる作業なんでしょうか~。本当に太鼓方は道具の準備の段階から既に体力勝負です。一般には薄い革を好む方が多い中、梶谷さんは特に厚い革をきつく締め上げた音がお好きだとのこと。楽器屋さんから厚い革の入荷があると連絡が入るそうです。

 

いよいよ太鼓を打つ体験の始まりです。
小の撥、中の撥、大の撥の打ち方と掛け声の組み合わせをお稽古します。太鼓の打音と掛声を一定の順序に配列した手組を記した『金春流太鼓粒附』にある「オロシ」、「打込」などをグループで打ち、さらに一人で打ちました。

 

楽屋でのお稽古体験の後には、一人ずつ舞台に上がり太鼓を打つという緊張の瞬間です。舞台の上では頭が真っ白になりました、という参加者もいらっしゃいました。

 

アンケートでいただきましたコメントをご紹介します。
・作法や打ち方を学べて良かったし、先生もとてもステキでした。舞台でやれたのも良かったです。
・梶谷先生から直にお話を伺えて、とても分かりやすく、能が身近に感じられました。舞台に上がった時は、気持ちが舞い上がりました。
・新しい発見があり、楽しい時間でした。ありがとうございました。
・こんなに詳しく打ち方を教えていただけると思っていなかったので楽しかったです!舞台上にもあがれて貴重な経験ができました。

 

マスクを取って集合写真をパチリ。皆さま、緊張のあとの充実したいい表情です。

ご参加いただいた皆さま、コロナ禍での開催でいろいろと運営にご協力いただきありがとうございました。横浜市の文化財に指定されている本舞台を独り占めした気分はいかがでしたでしょうか。非日常の貴重な思い出にしていただけましたらとても嬉しいです。
ではまたのご来館をお待ちしております。

 

はぜの木

2021年01月30日 (土) 日々の出来事

横浜・紅葉ケ丘まいらん連携事業「日本画(板絵)体験と横浜能楽堂見学」を開催しました。

令和3年1月16日(土)に「日本画(板絵)体験と横浜能楽堂見学」を開催しました。講師は日本画家の武田裕子さんにお願いし、横浜市民ギャラリーにもご協力いただきました。ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました。当日の様子をご紹介します。

 

まずは、これから描く梅の描かれた本舞台の「鏡板」を見学しました。140年余りの歴史ある鏡板です。松とともに梅が描かれているところが特徴です。目に焼き付けたところで、本舞台と同じ図柄の鏡板のある第二舞台に移動して日本画体験を行いました。

 

絵を描く葉書サイズの板は、木目や色合いの異なる杉、米松、樫、樅の4種を用意しました。まずは板選びからです。

 

そして、「鏡板」を見ながら葉書サイズの板に下絵を描きました。一から描いてもよし、武田さんのお手本をなぞってもよしです。

 

下絵ができあがったところで日本画特有の絵具などの説明がありました。
絵具の材料となる天然岩絵具岩石標本を武田さんにお持ちいだたきました。自然界にこんなに様々な色があるのですね。いつまでも眺めていたい美しさです。

 

これらを粉状にしたものが岩絵具です。例えば、「マラカイト」から緑青(りょくしょう)が、「アズライト」から群青(ぐんじょう)の粉ができます。粉の大きさにより細かいものは薄い色に、粗いものは濃い色になるそうです。粒子径により番手表示があり、番手が大きいほど細かいそう。白緑(びゃくろく)は最も細かいそうです。この粒子に膠(にかわ)を混ぜて絵具ができあがります。
膠は動物の骨や皮を細かくして煮詰めた煮凝り状のものを乾燥させたものです。これをヒーターで温めると液体状になり先の粒子に混ぜると絵具のできあがりです。
実際に当日、白緑に膠を混ぜて絵具も作る様子を見ました。

 

白色は、胡粉(ごふん)という板甫牡蠣(いたおがき)の殻の裏側を粉状にしたものです。こちらも膠を混ぜて絵具ができるまでを実演していただきました。混ぜた塊を小皿に何度も叩きつけて練っていきます。これを「百叩き」というそうです。

 

さらに墨を摺って、この日に使用する絵具のできあがりです。日本画の絵具とは、なんと手間ひまかけて作るのでしょうか・・・。驚くばかりです。

 

そして、いよいよ武田さんにお手本を描いていただきました。梅の枝のような植物は根元から枝先へ向かって描いていくそうです。墨が乾く前に白緑を軽く置く「垂らしこみ」という技法により、枝の苔を表現します。梅の花の白色は複数回重ねずに一回で描くと乾いたときにふっくらした花びらになるそうです。プロの筆さばきはとても美しかったです。

 

参加者の皆さんの手元もフォーカスしてみました。皆さん真剣に描いていました。


 

最後の仕上げは絵具を乾燥させてから行うために、その乾燥時間を活用して施設見学に出かけました。普段入ることのできない鏡の間や楽屋を見学し、そして、横浜市の文化財である本舞台の歴史ある鏡板を切戸口から間近に見ていただきました。板絵の仕上げの参考になりましたでしょうか・・・。

 

乾燥した頃に第二舞台に戻り、いよいよ仕上げです。最後は梅の花の真ん中に「しべ」をちょんちょんと金色で描きます。金色の絵具はさすがに金粉を使用すると高価すぎるためにポスターカラーです。これで完成!墨と白緑と胡粉の岩絵具によるシンプルな図柄ですが、異なる板の種類と異なる下絵と異なる筆のタッチにより、皆さん個性的な仕上がりでした。

 

マスクを外して記念撮影、皆さん、達成感に満ちたとてもよい表情です。

 

ご参加いただいた皆さま、緊張がとけない日々が続いておりますが、少しでも心が柔らかくなるような時間をお過ごしいただけましたでしょうか。そして、お手元の板絵を見て横浜能楽堂の鏡板を思い出していただけましたら嬉しいです。またのご来館を心よりお待ちしております。

 

P.S.
2月4日(木)~8日(月)に武田さんの日本画とちりめんドレスのコラボレーションによる、武田裕子×ESKIWA 特別企画展「ハルフルハナノコエ」が開催されます。場所などの詳細情報は武田さんのtwitterでご確認くださいませ。

はぜの木

2021年01月14日 (木) 日々の出来事

「能楽師(狂言方)が案内する横浜能楽堂とワークショップ『狂言の舞台裏、大公開!』」を開催しました。

横浜能楽堂では昨年度より能楽師が案内するシリーズ企画として、狂言方とシテ方による催しを実施しています。今年度は狂言方と太鼓方による催しです。まずは、令和2年11月29日(日)に「能楽師(狂言方)が案内する横浜能楽堂とワークショップ『狂言の舞台裏、大公開!』」を開催しました。講師は、狂言方大蔵流・山本東次郎家の山本則重さんと山本則秀さんです。今回の狂言方の企画は少し趣向を変えて、公演前の装束付けをお見せし、作り物の準備を体験していただきました。ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました。当日の様子をご紹介します。

 

最初に本舞台の見所でお話と狂言「附子」の一部を鑑賞しました。

 

太郎冠者と次郎冠者が主人の大切にしている掛け軸を「サラリ サラリ 、パッタリ」と破り、高級な茶碗を「グッラリ、チン」と割ってしまうオーバーな擬音は狂言独特の笑いにくるむ表現であるという解説があり、楽しみながら鑑賞が終わりました。そして、足袋に履き替えて楽屋裏に出発です。

 

【装束の間】
装束の間では、狂言の曲に合わせた肩衣についてと、装束に入れる紋は特定の家紋ではなく逆境でも強く生きていく雪薺(ゆきなずな)の紋を入れる意味などについてお話を聞きました。

 

【鏡の間】
鏡の間では竹でできた作り物の骨組に包帯状の白い布の「ぼうじ」を巻く体験をしました。ぼうじは引っ張りながら巻くので、体験された方は思いの外、力仕事だったのではないでしょうか。

 

【楽屋】
楽屋では実際に装束付けを見ました。
着崩れを防いだり、法被の袖を立てて強く見せるためなど、装束を糸でとじ付けることも能楽師の仕事です。針に糸を通して絹糸を拠って強くするところから準備が始まり、すぐに縫える状態になっているものが「いとはり」です。いとはりは、楽屋ですぐに縫えるように何本かあらかじめ用意してあり、きちんと専用ケースに収まっています。山本則秀さんの専用ケースは山本東次郎さんお手製のもので二十歳の時にプレゼントされたそう、とても大切に使いこまれていました。

 

いとはりで装束をとじ付ける仕事が終わりましたら装束付けです。

 

お話の中で、襦袢の上に着る「胴着」がとても興味深かったのでご紹介します。
胴着は綿入りの羽二重でできていて、どんなに暑い夏でも必ず着るそうです。綿入りなのは体の線を隠し、みんな同じような体形に見せるため。西洋のバレエでは身体は美しいものという考え方ですが、日本では身体は個人的なものなので個性を消すために隠すという考え方だそうです。また、足が長い、スタイルがいい、というような持って生まれたものではなく、自分の努力で獲得したものを評価するという、この胴着に日本人の精神性がとても表されていると感じました。更に興味深かったのは、肌襦袢、胴着、白の着物を3枚重ねたものが裸の表現であるということです。白は有って無いとされる色だからだそうです。

 

【舞台】
本舞台では簡単な足運びを体験しました。140年余りの歴史ある本舞台を歩くという、とても貴重な体験ではなかったでしょうか。

 

最後は見所に戻り質疑応答タイムでした。

 

アンケートでいただきましたコメントをご紹介します。
・普段は客席から見ている舞台の裏側を見られて、とても貴重な体験をさせて頂きました。また能楽師の方が案内して下さるとの事でしたので、興味津々、緊張もありましたが、楽しくワークショップを参加する事ができました。
・能舞台に上がった時は、不思議な感激がありました。
・知らなかった世界を見る事が出来、狂言の舞台もまた少し違った目で見られるようになります。
・舞台裏を知ったり舞台上でない能楽師の方を見られてより身近に親しみを持てた気がする。普段見ること、知ることができないものを解説していただけるのはたいへんありがたい。
・実際に能舞台に立つことが出来、感激しました。狂言方の皆様が縫物から工作までなんでもご自身でされていることにも驚きました。
・バックステージを知ることで狂言の理解が進みました
・ものに、日本独特の考え方がとても興味深かったです。(色、言葉、女性らしさなど)
・とても仲良しなご兄弟でしたので楽しかったです。舞台装置にいろいろな意味があることが興味深かったです。ぜひ観に来たいと思いました。いろいろ質問してすみません。
・親しみやすい山本ご兄弟のご説明で楽しく学べました。ありがとうございました。

 

後日に山本則重さんが、「普通の日常をお見せしただけです。」というようなことをおっしゃっていましたが、私にとっては、狂言の舞台裏は全てが非日常の特別な世界ばかりで興味が尽きませんでした。ご参加いただいた皆さまはいかがでしたでしょうか・・・。
能楽師が案内するシリーズ企画として、2月23日(火・祝)には梶谷英樹さんに講師をお願いして「能楽師(太鼓方)が案内する横浜能楽堂見学と太鼓ワークショップ」を開催します。1月16日(土)から受付を開始します。詳しくはこちら

 

ではまたのご来館をお待ちしております。

 

はぜの木

2020年12月28日 (月) 日々の出来事

「ミニ門松づくりと横浜能楽堂見学」を開催しました。

令和2年12月20日(日)に「ミニ門松づくりと横浜能楽堂見学」を開催しました。募集受付開始後、早々に定員に達しましたので、人気ぶりがうかがわれました。ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました。また、ミニ門松づくりは横浜能楽堂では初めての催しのため、実績のある神奈川県立青少年センター指導者育成課の指導員さんに全面的にお世話になりました。ありがとうございました。

 

今回の催しを開催するにあたり、事前に青少年センターにお邪魔し試作品を作ってみました。その際、私は人生で初めて竹を伐る体験をしたのですが、竹挽で伐る感触や伐った後の気分がものすごく気持ちよかったです。新鮮な竹は伐った断面がまだ湿っているという発見もありました。そこで、当初は希望者だけとも考えたのですが、当日は参加者全員に「竹を伐る!」体験をしていただくことになりました。
また、飾り付ける材料として、市販の物も一部購入したのですが、竹、松、南天や千両などの赤い実、木賊などの葉は、横浜能楽堂の庭や指導者育成課の担当者さんのご自宅周辺から直前に採取した「採れたて!」の新鮮なものを準備しました。

 

当日の様子をご紹介します。
午前の回、午後の回ともに予約いただいた20名が全員参加という高い参加率でした。20名を先にミニ門松づくりをするグループと先に施設見学をするグループに分けて密にならない配慮をしました。
ミニ門松づくりを「竹を伐る」ところから始めるとは・・・、参加者の皆さんの多くが想定していなかったのではないでしょうか。伐る感触や伐った後の気分はいかがでしたでしょうか?

 

ただし、予定より竹を伐る時間が多くかかってしまい、飾り付ける時間が足りなくなってしまい申し訳ありませんでした。飾り付けて完成させるところはご自宅でという方も多かったと思います。アンケートでも多くの方から時間が足りなかったとのご意見をいただきました。次回の改善点とさせていただきます。

 

ミニ門松づくりのアンケートでいただいたコメントを少し紹介します。
・自分で竹を伐り製作出来て楽しかった。季節的にいいワークショップでした。もう少し時間にゆとりがあるとよかったです。
・初めての経験で、各自でオリジナルのものが作れるのがとてもよい。とても充実した時間でした。
・庭の松を使っているのはすごいです。時間をもう少しあるといいですね。
・竹を伐ることからやったので満足感があった。

 

全体を通して、ご意見・ご感想もいただきましたのでご紹介します。
・とても勉強になり来年のお正月幸せに過ごせる事と思います。ありがとうございました。
・とても楽しかったです。季節感のある企画はとても楽しいです。四季折々企画があるとさらにとても良いと思います。

 

お持ち帰りいただいたミニ門松はご自宅で飾り付けを完成されましたでしょうか?玄関やお部屋などに飾っていただけましたらとても嬉しいです。
そして、どうぞ良いお年をお迎えくださいませ。また来年も横浜能楽堂をどうぞよろしくお願いいたします。公演、ワークショップ、施設見学などでお会いできることを楽しみにしております。

 

はぜの木

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