2021年12月22日 (水) 内容
「日本画(板絵)体験と横浜能楽堂見学」を開催しました。
令和3年12月10日(金)に「日本画(板絵)体験と横浜能楽堂見学」を開催しました。
講師は日本画家の武田裕子さん。横浜能楽堂の能舞台にある「鏡板」を見ながら、墨、胡粉(ごふん)、白緑(びゃくろく)を使って葉書サイズの板に梅を描きました。
ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました。当日の様子をご紹介します。
まずは杉・檜・樅など数種類の板から好きな板を選んで下絵を描きます。
次に絵の具のつくり方の説明です。
墨は武田さんの愛用の丸い硯で摺ります。
胡粉は牡蠣の貝殻の裏側から作った粉に水と溶かした膠を混ぜて練っていきます。そして練って丸めた胡粉を小皿に何度も何度も叩きつけます。「百叩き」いう言葉があるそうで、これがなかなか大変な手間です。
胡粉について参加者からこんな質問があり、武田さんにお答えいただきました。
Q1. なぜ胡粉は叩くのですか?
A1. 空気を抜いて膠と胡粉が混ざりやすくするためです。
Q2. なぜ胡粉が絵具の材料に選ばれたのですか?
A2. 白には鉛の白、白土などありますが、それらの中では胡粉はふわっとした感じで白の発色が鮮やかで柔らかい雰囲気なので、その質感が好まれたのではないかと思います。また、加工のしやすさ、地理的に入手がしやすかったことから室町時代から白の主流でした。
手間ひまかけて絵の具の準備ができたらいよいよ色をつけていきます。枝は墨で描き、その上に「垂らしこみ」という技法を使い白緑で苔を表現します。
花びらに仕上げの金と白緑を載せるためには胡粉の部分を乾かす必要があるため、その時間を活用して能楽堂見学をしていただきました。
見学から戻り、乾いた白い胡粉の上に梅の花のしべを描いて仕上げです。
仕上がった作品は、枝がとても繊細な方、花をたくさん咲かせた方、お手本に忠実に描いた方などなど、皆さま、それぞれに個性がありました。背景の板の木目も一枚として同じものはありませんから、世界で1枚だけの作品に仕上がりました。
アンケートにも多数ご協力いただきありがとうございました。一部をご紹介します。
・大変分かりやすく教えていただき、とても楽しかったです。舞台裏ツアーも貴重な体験でした。板も種類が選べて嬉しかったです
・絵の具のつくりかたから能や狂言のことまで幅広く見て知ることができてとても有意義な時間でした。日本画のストイックさと大変さは本当にすごかったです。
・日本画の武田先生はとても人当たりの素敵な方でどんな質問にも答えていただいて、日本画の奥深い凄い世界についての一端を知ることができました。他の参加者の方も勉強熱心な感じの方が多く質問されている内容からも色々な知識を知ることができて良かったです。
講師の武田さん、お手伝いをいただいた横浜市民ギャラリーの大岩さん、平町さん、そしてご参加いただいた皆さま、本当にありがとうございました。またの機会にお会いできるのを楽しみにしております。
はぜの木