スタッフブログ

2018年12月16日 (日) 日々の出来事

室内装飾織物のお話

先日、京都迎賓館を参観してきました。少し前に赤坂迎賓館の和風別館を参観した際に、日本の伝統建築空間はやっぱりすごい!と感動したのですが、その比ではありません。建築も庭園も室内の工芸品も、まさに日本の伝統技術の粋を集めた、それはもう博物館や美術館のような美しさでした。それらが一体となり、日本が世界に誇ることのできる、超一流のおもてなし空間になっているんだなぁ~と思いました。

京都迎賓館のホームページには次のようにあります。

 

「日本の伝統技能の粋を集めた最高のおもてなしの場

京都迎賓館は日本の歴史、文化を象徴する都市・京都で、海外からの賓客を心をこめてお迎えし、日本への理解と友好を深めていただく施設として平成17年に建設されました。

歴史的景観や周辺の自然環境との調和を図るため、日本の伝統的な住居である入母屋(いりもや)屋根と数寄屋(すきや)造りの外観とし、品格のある和風の佇まいを創出しています。

建物や調度品には、数寄屋大工、左官、作庭、截金(きりかね)、西陣織や蒔絵(まきえ)、 漆など、数多くの京都を代表する伝統技能において匠の技を用いています。」

 

全てをご紹介したいところですが、ここではその中の一例の「夕映の間」の壁面の織物についてご紹介します。

「夕映の間」のお部屋の紹介として前述のホームページには次のようにあります。

 

「大臣会合などの会議や立礼式(りゅうれいしき)のお茶のおもてなし、晩餐会の待合として使用されています。 東西の壁面を装飾する「比叡月映(ひえいげつえい)」、「愛宕夕照(あたごゆうしょう)」という二つの織物作品の一文字ずつをとって、この部屋を「夕映の間」と呼んでいます。」

 

写真は「比叡月映」と「愛宕夕照」側の壁面写真です。

私がとても印象的だと思ったのは、東西の綴織はもちろん大変素晴らのですが、その作品まわりの幅木、柱、長押、回り縁で囲まれた壁面にも、2つの作品の山や空の色にぴったりな無地の織物が貼られているということです。とてもやさしい水色です。その壁は塗料や壁紙ではなく、綴織の作品にあわせた色の織物貼りでなくてはいけなかったんだろうなぁ~、と設計者の意図を想像しました。

 

日本の伝統技術の粋として、京都迎賓館「夕映の間」の壁面の織物をご紹介しましたが、横浜能楽堂にも、とても素敵な室内装飾織物があることをご存知でしょうか?

 

[玄関広間カウンター腰部&見所前室扉]

カウンター腰部と見所前室扉の織物がお揃いになっています。お気づきでしたでしょうか?また、見所前室扉の表側と裏側も同じです。表側は裏側より日射の影響を受けるため、少し色あせています。

拡大すると写真のようになっています。文様は疋田りんどう錦です。

 

[第二舞台前室飾り棚部]

写真は第二舞台前室飾り棚部です。第二舞台というのは、地下1階にある舞台で、伝統芸能に関するお稽古や小規模の発表会等のご利用のお客様にお貸出しています。第二舞台のドアを開けると渋い文様の織物が目に入ってきます。

拡大すると写真のようになっています。文様は小丸龍です。

 

[装束の間地袋 有栖川錦(馬手)]

写真は私が最も気に入っている装束の間の地袋です。装束の間とは、能の公演の際にシテ方が装束を着けるお部屋です。このお部屋の地袋を見てみると欅の天板の下に華麗な織物が貼られています。装束の間だからこの華やかな色柄が選ばれたのでしょうか・・・。

拡大すると写真のようになっています。文様は有栖川錦(馬手)です。

 

 

横浜能楽堂の室内装飾織物の一部、いかがでしたでしょうか?私は、京都迎賓館「夕映の間」同様、なぜこの壁に織物が貼られたのか?という設計者の意図を勝手に想像して楽しんでおります。次回お越しの際には、室内装飾織物にも目を留めていただけますと幸いです。

 

横浜能楽堂では、能や狂言の公演、ワークショップなどの催しはもちろん、施設見学会(無料)も開催しております。年明け最初の予定は1月10日(木)10:00~11:00です。

皆さまのお越しを心よりお待ちしております。

 

はぜの木

2018年11月26日 (月) 日々の出来事

熱海の休日

さわやかな秋。熱海に行きました。

熱海のイメージといえば、温泉、海、昭和の雰囲気・・・

マンホールに温泉のマーク

 

昭和のイメージ?!

 

やっぱり、海!

 

駅ビルを出るとすぐにある平和通り商店街。ひもの屋さんにはおいしそうな海産物が並び、店頭で食べられるスペースがあります。お昼前でしたが、生シラス、生桜えび、豆イワシをいただきました。

 

散策しながら来宮神社へ。境内、本殿はもちろんのこと、喫茶スペース等もとても美しく整備されていて、たくさんの参拝者がいました。

 

来宮神社は来宮駅の近く。地図によると「健康パン」というパン屋さんがあるはずなので、探してみると、「健康パン」という名のお饅頭屋さんでした。

来宮神社の御祭神に麦こがし、橙、ところ、百合根をお供えしたところ大変喜ばれたという古記が伝わるそうで、神社の来福スウィーツにはそれにちなんだお菓子がいろいろあります。その一つが、この「健康パン」のこがし饅頭。麦こがしの香ばしい香りと、上品な甘さのこしあんがとてもおいしい逸品でした。

 

起雲閣を目指して歩き始めました。途中に湯前神社や温泉寺といった、温泉地ならではの寺社がや、熱海七湯の大湯間欠泉や風呂の湯・水の湯という源泉もありました。このうち、大湯間欠泉は世界三大間欠泉の一つに数えられていたそうです(他の2か所は、アメリカ・ワオミング州のイエローストーン公園内オールド・フェイスフル・ガイザー、アイスランドのグレートゲイシール)。

 

間欠泉の横には明治期の電話ボックスを復元したものがあり、「市外通話創始の地」の碑。国内で初めて市外通話のが始まったのが、明治22年(1889年)、熱海と東京結ぶ市外通話だったとのこと。

ちなみに、山手の元町公園にも明治期の電話ボックスがあります。こちらは電話創業(明治23年)100年を記念して平成2年に設置されたもので、日本で初めて(明治33年)京橋に建てられた電話ボックスを再現しています。

 

寄り道ばかりしていたので、起雲閣に着いたのは夕方近く。起雲閣は大正8年に別荘として建てられ、昭和22年に旅館として営業を開始し、太宰治や谷崎潤一郎、尾崎紅葉ら数多くの文豪にも愛された熱海を代表する宿の一つでした。

 

熱海といえば、「金色夜叉」。貫一・お宮。

 

東海道線で横浜から熱海行きに乗れば1時間10分くらいで、日帰りできる近さ。充実した休日を過ごせるすてきな街。またのんびり訪れたいです。

 

トラ子

2018年11月10日 (土) 能楽関連

「館長が案内する横浜能楽堂見学と能楽のイロハ」を開催しました。

平成30113(土・祝)に「館長が案内する横浜能楽堂見学と能楽のイロハ」を開催しました。10:00の回72名、14:00の回73名、計145名の皆さまにご参加いただきました。本当にありがとうございました。当日の様子をご紹介します。

 

まずは見所で館長のお話からスタート

事前にレジメを用意しようとしましたところ、館長が「レジメがあると話が面白くなくなるから」ということで、職員の私たちもどんなお話になるのかわからないままスタートしました。レジメ無きお話ですので、10:00の回と14:00の回で脱線部分も異なりましたが、それぞれに興味深かったのではないかと思います。皆さまはいかがでしたでしょうか?

 

休憩をはさんで、3つのグループに分かれて楽屋裏を見学

鏡の間では館長が面のかけ方や揚幕のあげ方を紹介しました。揚幕体験をしたり、鏡の間から舞台を写真撮影された方もたくさんいらっしゃいました。

能楽の公演のイメージがふくらむように、通常の施設見学時には無い展示をご覧いただきました。鏡の間の面、装束の間の唐織、狂言方楽屋の素襖、焙じ室の大鼓の皮などです。

 

見学終了後はロビーにてサイン会

ご希望者に、館長が自著『これで眠くならない!能の名曲60選』にサインしました。長蛇の列にびっくりでした!

 

2階には記念撮影用に顔ハメパネルを設置

めくりに下げた日付入りの札は当館職員の直筆です!来館記念に撮影していただけましたでしょうか?

 

 

終了後のアンケートには多くの皆さまにこ協力いただきありがとうございました。

ここで少しご紹介します。

 

 

 

自由意見

・舞台を演者側からの目線で見られたり、館長のお話が面白くよく理解出来ました。(40代女性)

・館長のお話がとても、興味深くわかりやすく面白かったです!おまくの体験をさせて頂き、感激致しました!(50代女性)

・時間を感じさせないくらいおもしろかった。歴史背景を知ることができて良かった。(60代男性)

 

案内するシリーズ企画としまして、「能楽師が案内する横浜能楽堂見学と能楽ワークショップ」を年明けに開催します。111日には梅若紀彰 (シテ方観世流)223日には山本則重(狂言方大蔵流)がそれぞれの視点からご案内をいたします。

https://yokohama-nohgakudou.org/news/?p=571

現在募集中ですので、ご興味のある方はぜひご参加くださいませ。

 

はぜの木

 

 

 

2018年10月16日 (火) 日々の出来事

人形劇の祭典

昨年12月、横浜能楽堂で人形アニメーション作家の川本喜八郎さんに焦点をあてて、映像上映と能とチェコの人形劇を上演するという公演を開催しました(日本におけるチェコ文化年2017 横浜能楽堂特別企画公演「川本喜八郎の世界―人形劇・能・人形アニメーション」)。

そのときにチェコから招聘した人形劇の「アルファ劇団」がふたたび日本にやってくるときいて、今年の8月、かねがね気になっていた「いいだ人形劇フェスタ」に行ってきました。

 

開催地は長野県の南部に位置する飯田市。横浜からは高速バスで4時間半ほど。車内から諏訪湖を眺めたりしながら、あっという間に到着。国内外からたくさんの人形劇が集結するフェスを開催中とは思えないひっそりとした駅前は、ちょっと秘境めいた雰囲気。観光案内所でいろいろ情報を入手しつつ、まずは腹ごしらえ。

 

 

観光案内所のお姉さんイチオシの中華料理屋さん「新京亭」。うどんのようなのどごしのよい麺とさっぱりとした醤油ベースのスープに、飯田名物の揚げ餃子。優しい味で、とてもおいしかったです。

 

「いいだ人形劇フェスタ」は、毎年8月上旬に飯田市で開催されている日本最大の人形劇の祭典。1979年に「人形劇カーニバル飯田」としてスタートし、1999年に現在の名称に改称、トータルで今年は40周年の節目。プロ・アマ問わず、現代人形劇から伝統的な人形芝居まで、様々なスタイルの人形劇が大集結、海外からもバリエーション豊かな劇団が参加。今年は市内約120ヶ所で480ステージの上演があったとのこと。すごい規模です。(フェスタのHPはこちら)

 

 

こちらは会場のひとつ、飯田文化会館。公演の開場待ちで数百名のお客さんが並んでいました。(お客さんのお顔が写っていたので、フェスタの公式キャラクター「ぽぉ」に登場してもらいました。)日中、街を歩いていても人の気配が全然ないのに、公演会場はどこに行っても大混雑。満席で入れない公演もあり、残念な思いをしたことも。昭和な雰囲気ただよう街中がひっそりとしているからといって、日本最大の祭典をあなどってはいけません。

 

今回は、せっかくなので海外の劇団の公演を中心に観てきました。
人間の等身大の人形を使って神と人との静謐な関係性を描いたドイツのユニットの作品や、クレイアニメの実写版のように粘土を使ってさまざまに情景を作り変えていくイランのグループの実験的な作品、肘から指先までのみを使って表現するネオンサインのような楽しい造形が展開するロシアのカンパニーのエンターテイメントな作品等々。
一口に「人形劇」と言っても、その表現方法はものすごくバラエティに富んでいて、幅の広さに目を見開かされました。

 

そして、いよいよアルファ劇団の公演。

 

 

横浜能楽堂で昨年上演した際は、能舞台にマリオネットが出遣いで登場するシンプルな演出だったのですが、今回は野外にテントを組んでの上演。上演中、窓やカーテンの部分が開いて額縁のようになり、そこが小さなステージとなって劇が展開します。演目は「三銃士」。

 

このような上演スタイルはチェコでトラディショナルなものとのことですが、演出に現代の感覚も感じられました。ヨーロッパの民俗音楽が下地になっている音楽や歌も(曲はオリジナルとのこと)ワイルドでかっこよく、観終えたあとしばらく頭のなかをループするキャッチーさもあったりして、親しみやすく楽しめました。長きにわたって継承されてきたチェコ伝統芸の現在形、小さい人形ながら迫力もあり、見ごたえ満点でした。

 

最後のカーテンコールでは、出演した人形が全部登場。これを4~5人で汗だくになりながらテントの中で操っているとのこと。人形は袋状になっていて、下から手袋のように手を入れて、頭や腕の部分を人形遣いが指で操る仕組みになっています。

 

 

そんな国際色豊かなフェスティバルではありますが、一方、長野は郷土芸能の宝庫でもあります。今回は日程が合わず公演は観られなかったのですが、日本各地から郷土の人形芝居も集まってきており、その一端も見てきました。

 

会場は、黒田人形浄瑠璃伝承館。飯田市に300年にわたって伝承される黒田人形芝居の保存と継承を担う拠点施設です。写真は八王子車人形西川古柳座(東京都)のワークショップの様子。ロクロ車に人形遣いが腰を掛け、一体の人形を一人で操ります。

 

 

この施設の隣にある下黒田諏訪神社の境内にはこんな舞台も。天保11年(1840年)に建て替えられた、黒田の人形浄瑠璃を演じるための専用舞台で、国指定重要民俗文化財とのこと。ここを使っての上演、観てみたかったです。

 

 

また、もう少し足を延ばして、竹田扇之助記念国際糸操り人形館にも行ってきました。竹田扇之助がコレクションした国内外の人形がアーカイブされています。隣には歌舞伎舞台と兼用というめずらしいスタイルの小学校、旧座光寺麻績学校校舎 (明治6年築/長野県宝)も残っています。

写真は人形館の外観。秋田の猿倉の人形芝居や江戸後期の大阪にあったという幻の糸繰り人形一座・幽蘭座の人形などの展示が行われていました。

 

 

せっかく遠出したからには、土地の味覚もはずせません。馬のモツ煮「おたぐり」with 地酒の喜久水(上左)に、五平餅(上右)。元城下町だけあって、赤飯饅頭(下左)のような和菓子もバラエティ豊か。レトロなケーキさん(下右)やパン屋さんなど、そそられるものがたくさんありました。

 

 

8月の飯田はめちゃくちゃ暑かったですが、たくさんの人形劇と土地の文化を堪能できて、大満足。フェスタという形式も楽しいですが、その土地の独特な文化に触れる面白さを改めて感じて、各地の郷土芸能にももっと足を運んでみたいなとも思ったり。今年の夏のすこやかな思い出です。

 

とうふ

2018年09月14日 (金) 日々の出来事

信州~北陸 アートな夏

アートめぐりが大好きな私、今年は信州~北陸を巡りました。

 

国宝松本城。現存する唯一の黒壁天守は美しく、お天気が良ければ白いアルプスとのコントラストが素晴らしいことでしょう。

 

 

 

お城からほど近い松本市美術館。どの角度からみても思わず写真を撮りたくなる作品です。ちなみに自販機とゴミ箱もこんなにポップ。

 

そして、北陸・富山県へ。アートがテーマの旅、新国立競技場を設計した隈研吾氏設計のカフェ呉音(クレオン)に行ってみました。

105mm角の木材をひたすら重ねて作られた建物。中は森の中にいるような感覚です。

オーダーしたミルフィーユも建物をイメージしているのでしょうか。外気温は37度、癒しの空間でいただくスウィーツは格別でした。

 

最後は、「大地の芸術祭」です。十日町は「こしひかり」で有名な米どころ。今回は食文化にも焦点をあてているようです。「ザ おこめショー」というイベントに参加しました。

異なる地域でとれたお米を比較して食す、というイベントで、まずはお米のレクチャーから。同じ「こしひかり」でも、意識してみると、色、つや、硬さ、甘さが違います。

4種類を味わい、一番好きなお米のおにぎりと、地元の食材を使ったお弁当をいただいてイベントは終了。アートと食文化を一緒に楽しむ、地方ならではの取組みでした。

 

暑かった十日町ですが、冬は2~3メートルの積雪になるそうです。その下で大地もゆっくり休み次の田植えの力を蓄える、「だから美味しいお米ができるんだ」と地元の方が言っていました。やっぱり休養は大切ですね。

 

ちょび

2018年08月08日 (水) 未分類

ブラジルの歌姫

先月、ブラジルからダニ・グルジェルというシンガーが来日していました。

3年ぐらい前から毎年ライブに行っていますが、今年は大使館でトークがあるということで行ってきましたー。

 

ブラジル大使館は外苑前駅から少し歩いたところ。

近代的なおしゃれな建物です。

今は壁の装飾がこんな感じになっていました。

ブラジル大使館外観

 

トークは文化担当官の方のご挨拶から始まりました。

もうすぐ文化担当官の方が交代になるというお話でした。

その中でそれぞれの経歴の紹介があったのですが、

新旧の文化担当官どちらも芸術大学を卒業された方ということで、

それぞれの分野の専門の方が文化担当官をされているのは、

アーティストの方も心強いだろうなと感じていました。

 

いよいよメインのダニさんのトークが始まりました。

これまで行ってきた音楽製作、そして現在取り組んでいるプロジェクトについて話をしてくれました。

今は若手の作曲家を発掘して、一緒に新しい曲を作るという

「novos compositores」(ポルトガル語で「新しい作曲家」という意味です。)

というプロジェクトに取り組んでいるそうです。

そして彼女は今ボーカルをしていますが、とても多才なアーティストで

これまでギター、サックス、ベースなどいろんな楽器をしてきたとのこと。

音楽以外にも、ご自身のCDの写真の撮影やデザインもしちゃうそうです。

ちょうどこの写真の右側のスクリーンに映し出されているのが、CDのデザインです。

左側にいるのは、もちろんダニさん。

 

ブラジル大使館でのトーク

 

 

次の日の新宿のブルックリンパーラーでのミニ・ライブも行っちゃいました。

前日のトークにいらっしゃっていた方もちらほら。

大使館でのトークの内容を実際にその場で見せてくれた感じで、

若い作曲家たちと一緒に演奏をしていました。

 

そして、なんとそこに大御所のアーティスト ダニエル・ジョビンさん

(ボサノバの創始者の一人アントニオ・カルロス・ジョビンのお孫さん)が舞台に。

ダニさんも今回初めて会ったとのことで、予想もしていなかった展開に。

 

ブルックリンパーラーでのミニライブ

 

メンバーも興奮気味でボサノバの曲を2曲セッション。

ミニ・ライブ満喫させて頂きましたー。

来年もまた行きたいな。

 

ぼたん

2018年07月24日 (火) 日々の出来事

台湾で祭りに遭遇

6月に開催された特別企画公演 「花開く伝統―日台の名作と新作―」、ご覧頂けましたでしょうか。崑劇を観るのは、初めての経験でしたが、主演の温宇航さんが幕から出る時の足の運びなどは、能のような重厚さがあり、日本の古典芸能が好きな方でも楽しめる内容だったのではないかと感じました。9月には台中と台北での公演がありますので、台湾にお住まいの方がいましたら是非、劇場に足をお運びください!

詳細はこちら↓

https://www.facebook.com/GuoGuangOperaCompanytw/

 

 

さて、今回の公演を通じ、台湾の文化に興味を持った私。
一足早い夏休みを利用し、初めて台北に行ってきました。

 

一番興味があったのは「食文化(スイーツ)」!

 

 

台湾といえばマンゴーかき氷が有名ですが、カフェやパティスリーもお洒落でおいしい店が多く、満足。

 

さて、雙連駅近くの某有名店でマンゴーかき氷を堪能した後、次の目的地に向かって歩いていると。

 

 

 

何やら装飾が施された車が。

 

 

 

 

 

 

鳴り響く、銅鑼や哨吶。(たまに)爆竹の音。

 

 

 

 

 

 

交差点には壇が作られ、どう見てもこれは祭りの雰囲気。祭り好きとしては胸が躍ります。

 

 

これは、縁結びにご利益があることで有名な「霞海城隍廟」の城隍爺の誕生日を祝う祭り「五月十三迎城隍」で、この日のパレードは台北市の無形文化財にもなっているそうです。

 

 

 

そこで、霞海城隍廟にも行ってみました。お供え物が沢山ありましたが、特に祭りが行われている様子はなく、肩透かし。

 

 

 

 

町をブラブラしていると、別のパレードに遭遇。こちらは車だけでなく、神様(?)も一緒に廻ります。音楽を鳴らし、暑い中、市中を練り歩く感じは、祇園祭を思い起こさせます。

 

 

 

 

ただ、一般車両が通行止めになったり、警察が交通整理をすることはありません。途中信号で止まりつつ、結構な量の車が行き交う中、パレードは進んでいきます。

 

 

 

 

時には自分たちで交通整理をすることも。

 

 

 

 

壇が作られているところでは、厳かに参拝をしていました。

 

 

 

 

 

 

でも、その隣では、セクシーな女性たちによるダンスが披露されています。

 

 

 

 

 

一行は民権西路を越えて、さらに北へと進んでいきました。

 

 

調べてみると、この祭りは「霞海城隍文化節」として、1ヶ月程の期間に様々なイベントが行われているようです。今回、出会ったのは旧暦5月13日に行われるパレード(の一部)でしたが、旧暦5月11日の夜に行われる「暗訪夜巡」というものも、独特の雰囲気があって面白そう。

 

次回はぜひ、祭り目当てに行ってみようと思います。

 

<の>

2018年07月21日 (土) 日常

能楽堂の建築についてのお話です。(天井のお話)

横浜能楽堂建築の素敵ポイントについて、今回は天井のお話です。

以前に楽屋玄関の「萌黄地蓮華文錦(緑)」の織物が貼られている格天井をご紹介しました。能楽堂内にはその他にも素敵な天井があります!

 

まず2階レストランスペースの天井です。

白い漆喰の格子とその間の木の板のコントラストが明快な格天井(ごうてんじょう)です。

この木の板にはとても歴史があります。

横浜能楽堂の本舞台は、明治8年に東京・根岸の旧加賀藩・前田斉泰邸に建立され、大正8年に染井に移築され、その後に横浜に復原されたものです。根岸時代の舞台は前田斉泰さんが亡くなられた後、一時応接間に仮使用されたため杉板の格天井に改造したそうです。横浜の本舞台では天井板を貼らない化粧屋根裏仕上げとしたため、根岸時代の古材天井板をレストランスペースの天井板に転用使用したということです。レストランスペース入口に杉板の由来を説明したプレートがあります。

明治、大正、昭和、平成の時代を経てきた杉の板の木目に長~い長~い歴史を感じます。

レストランスペースの格天井の杉板

 

次は1階歩廊(ほろう)の天井です。

見所(客席)入口ドア前の通路のスペースのことを歩廊と呼んでいます。

以前、施設見学日の際にお客様から「あの天井の文様は何でしょうか?」というご質問がありました。

資料によりますと「いちご裂(孔雀)」と記してあります。いちご裂とは通常、12弁の花紋をいちごに見立ててそう呼ぶらしいのですが、天井をよお~く見てみますと花紋ではなく孔雀の文様です。そのため(孔雀)と記されているのでしょうか・・・。

色味は木部としっくり調和しつつ、孔雀文様が歩廊スペースに華やかさと楽しさを演出しています。

歩廊の天井の織物の孔雀文様

 

最後は地下1階第二舞台入口の天井です。

格天井に織物が貼られています。

資料を調べてみると「名物利休緞子(紺)」と記されてあります。

茶道具の棗(なつめ)の袋裂に使用されている有名な梅の文様のようです。

舞台の鏡板に梅が描かれているから舞台入口の天井に梅の文様を選んだのでしょうか?設計者の意図はわかりませんが想像力がかきたてられます。

織物が格子を境に互い違いに向きを変えて貼られているため、地下ではありますが、照明器具の光の具合で同じ文様の色が異なって見えます。派手さはありませんが、紺地の緞子の渋さが光っているなあ~と思います。

第二舞台入口の格天井

 

天井散歩はいかがでしたか?

横浜能楽堂にお越しの際には、ぜひお楽しみくださいませ。

ただし、素敵な天井に見とれすぎないよう、くれぐれもお足もとにはお気をつけくださいね。

 

はぜの木

2018年06月27日 (水) 公演情報

インターンシップを終えて

今回、私は大学の講義の一環であるインターンシップで6月9日・17日に開催された『花開く伝統-日台の名作と新作-』のお手伝いをさせて頂きました。

その模様を、一部ですが皆様にお伝えしたいと思います!

 

 

【リハーサル】

6月5日からは、日台の共同制作「繍襦夢」のリハーサルが行われました。

初めて見る崑劇でしたが、特徴的な節回しや身振りなど、独特の雰囲気がとても印象的でした。メイクなどの打ち合わせにも同席することができ、公演が作り上げられていく様子を肌で感じることができました。

台湾の国光劇団の方々とは通訳を介したり、英語でお話したりと、日本語・中国語・英語が飛び交う現場で、とても貴重な経験でした。

 

「繍襦夢」リハーサル

「繍襦夢」メイク打ち合わせ

 

【プロモーションビデオ撮影】

6月7日には、9月に行われる台湾公演に向けたプロモーションビデオ撮影に同行させて頂きました。衣装デザイナーの方の事務所にお邪魔し、デザインの意図や普段のお仕事について伺いました。何気なく見ていた衣装のデザインも、そこに込められた考えを知ると全く違って見えてくるように感じました。

 

衣装デザイナー取材

 

【公演本番】

本番では、出演者が舞台に登場する際の揚幕係をお手伝いさせて頂きました。

舞台に出る直前の出演者の様子を間近で拝見し、その緊張感に自分も身が引き締まる思いでした。一流の方々の持つ雰囲気に触れることができ、お手伝いさせて頂けた有り難さを改めて感じました。

 

 

大学ではクラシック音楽を学んでいますが、横浜能楽堂で普段とは異なる分野を知ることができ、自分の分野を深めたり、新しいジャンルに挑戦したり……と今後の勉強への更なる意欲が湧きました。

 

今度は、是非とも観客として能楽堂に伺いたいと思います!

ありがとうございました。

 

〈おくとぱす〉

2018年06月26日 (火) 日常

能楽堂の建築についてのお話です。(柱のお話)

横浜能楽堂建築の素敵ポイントについて、少しずつ皆さまにご紹介していきたいと思い、前回は楽屋をご紹介しました。

今回は舞台の柱のお話です。

 

能舞台は、昔は大名のお屋敷の庭や神社の境内など屋外にあったため、舞台の上に屋根がありました。能舞台と見所が建物の内部に納まる形式の能楽堂になった現代も、屋根は昔の様式を継承して舞台の上にあり続けています。

そのため、屋根を支える柱もあり続けています。

 

ところで、屋外から屋内になった後も屋根が残っている建築は相撲の土俵と能舞台だけ、とても珍しいそうです。

その相撲の土俵には柱が無いのは何故だろう?と疑問がわいたので調べてみました。

日本相撲協会のホームページにある協会のあゆみによりますと、昭和29(1952)9月に「四本柱の撤廃 代わりに吊屋根、四色の房を下げる」とあります。翌年5月からNHKがテレビ中継を始めています。

相撲の土俵は、テレビ中継が始まることで観客の視界を妨げる柱が無くなり吊り屋根になったのですね。

一方、能舞台の4本の柱は現在もあり続けています。

どの柱もとても重要な役割があり、「シテ柱」「ワキ柱」「笛柱」「目付柱」と名前がついています。

能舞台を上から見た図

 

中でも「目付柱」は特に重要な柱です。

https://yokohama-nohgakudou.org/about/seat/

近年、多目的に利用するために柱を取り外し方式にしている能舞台がありますが、将来、相撲の土俵のように、「え~能舞台に柱があったの~?」なんて時代がくるのでしょうか?

 

どの能舞台にもある4本の柱ですが、横浜能楽堂本舞台の柱は少し細目であることをご存知でしょうか。

通常の能舞台は総桧づくりですが、横浜能楽堂の本舞台は総桧ではなく舞台床以外の鏡板・柱など主要なものは樅(もみ)の木です。全体の骨組みが細く設計されていて、柱も細くなっているのが特長です。

細い理由については、樅は桧に比べて堅いため、とか、白い梅が描かれている鏡板にあわせてやさしい印象にするため、とか節はいろいろです。

「目付柱」の太さを実際に測ってみましたところ、約5寸でした。他の能楽堂の柱は測ったことはありませんが6寸程度ではないでしょうか。

 

中正面席からは観客の視界の妨げになる「目付柱」ですが、横浜能楽堂の「目付柱」は少し細いため視界の妨げをちょっとだけ緩和していませんか?

たかが1寸、されど1寸ですね・・・。

 

 

横浜能楽堂にお越しの際には、ちょっと細目の舞台の柱にもご注目くださいませ。

皆さまのお越しをお待ちしております。

  

はぜの木

 

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