スタッフブログ

2022年11月04日 (金) 能楽関連

能楽師(狂言方)が案内する横浜能楽堂見学と狂言ワークショップ『太郎冠者、あれこれ』を開催しました

10月29日(土)に能楽師(狂言方)が案内する横浜能楽堂見学と狂言ワークショップ『太郎冠者、あれこれ』を開催しました。

案内役は狂言方大蔵流の山本則重さん・則秀さんです。ご参加いただきました皆さま、ありがとうございました。

当日の様子をご紹介します。

 

まずは本舞台の前で、狂言や「太郎冠者」についてお話を伺いました。

 

狂言の登場人物の中で代表的なキャラクターである「太郎冠者」は、「これはこの辺りに住まいいたす者」と名乗ります。

狂言の登場人物はどこにでもいる人間。見る人は自分自身に重ね合わせて鑑賞してほしい、という理由からだそうです。

時に人間の愚かなところも表現する狂言ですが、それを悪として暴露するのではなく、「誰にもこういうところあるよね」「自分もそうかな」と思わせるのです。

人間の誰もが持っている感情を笑いにして見せる、狂言の面白さを知ることができました。

 

その後、山本則重さん・則秀さんの実演で狂言「千鳥」の一部を鑑賞しました。

 

あの手この手を使って何とか酒樽を持ち帰ろうとする太郎冠者と、酒屋の主人とのやりとりが見どころです。

 

鑑賞の後は白足袋に履き替えて楽屋に移動し、葛桶(かずらおけ)についてお話を伺いました。

 

狂言には色々な小道具がありますが、中でも葛桶はさまざまなものに見立てられます。

狂言「千鳥」では酒樽に見立てた葛桶をひもで引っ張る場面がありますが、その準備として葛桶にあらかじめひもを巻いておく様子も見せていただきました。

舞台上で斜め方向から引っ張っても倒れないよう、結ぶ位置、結ぶ強さ、結び方にも工夫をしているのだそうです。

 

お話の後は、舞台の上で体験です。

まずは「太郎冠者の構え」を教えていただきました。ひざを折って腰を低くする、「腰を入れる」という姿勢です。

構えができたら、今度はすり足で歩いてみます。

 

次は声を出して「笑う」と「泣く」も体験してみました。

近くにいてうるさくなく、遠くまでよく聞こえるような声が理想だそうです。難しいですね。

どちらも皆さま元気いっぱいに声を出していただきました。

 

アンケートでいただきましたコメントを紹介いたします。

・楽しい時間でした。裏方のお話も聞かせていただいて、次回の鑑賞の時、なお一層楽しくなると思います。

・実体験に基づいた説明がとても面白かったです。また、舞台での演技体験も楽しかったです。

・2時間たっぷりと狂言の太郎冠者にまつわりお話をして頂きましてありがとうございました。多くの知識を頂きました。大変に丁寧にまた熱意を持って先生方にはお話頂いてさらに能楽に興味が湧きました。

 

来年には、3日間で狂言のお稽古と発表会を行う「おとな狂言ワークショップ」も開催します。

1日では足りない!という方、今回参加できなかった方、応募をお待ちしております。

詳細はこちら

2022年10月21日 (金) 能楽関連

「能楽師(太鼓方)が案内する横浜能楽堂見学と太鼓ワークショップ」を開催しました

2022年10月15日、「能楽師(太鼓方)が案内する横浜能楽堂見学と太鼓ワークショップ」を開催しました。

講師は太鼓方金春流の梶谷英樹さんです。

当日の様子をご紹介します。

 

初めに、本舞台で梶谷さんのデモンストレーションを鑑賞しました。

太鼓の音と掛声のみ、お一人での演奏ですが、その迫力に圧倒され、思わず息を止めて見入ってしまいます。

鑑賞の後は、能舞台や能の歴史、囃子方の4種の楽器についてお話を伺いました。

笛・小鼓・大鼓・太鼓の4種の楽器のなかで、太鼓はリーダーであり指揮者役です。能の後半のメインの場面で活躍するそうです。

太鼓の出番は小鼓や大鼓に比べると少ないですが、限られた時間で他の囃子方と息を合わせなければならないので、打つ数が少ない曲ほど大変なのだそう。

ちなみに能楽の世界では「楽器」とは呼ばず、楽器を敬い「道具」と呼ぶそうです。

 

その後は白足袋に履き替えて楽屋に移動し、舞台裏を見学しました。

また、囃子方と同じように「橋掛かり」から本舞台へあがり、舞台の上で能舞台の説明を伺いました。

主人公を演じるシテ方が、自分の位置の目印にするための「目付柱」や、能が屋外で演じられていたときにレフ版の効果を生んでいたという、舞台の周りの白い石「白洲」など、能舞台はよく考えて作られていることがわかります。

 

後半は、楽屋で太鼓の組み立て見学と太鼓体験です。

太鼓は牛の革と欅の木の胴、縦と横の調べ緒(紐)で出来ています。現在は樫の木の台に太鼓を置きますが、昔は台がなく、「太鼓持ち」という職業があったそうです。

体験では、小の撥(ばち)、中の撥、大の撥の打ち方と掛け声をお稽古しました。

お稽古体験の後には、一人ずつ舞台に上がり太鼓を打ちました!

出番を待つ参加者の皆さまから緊張が伝わってきました。

歴史ある横浜能楽堂本舞台での演奏体験はいかがでしたでしょうか。ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました。

 

アンケートでいただきましたコメントを紹介いたします。

・舞台で太鼓を打たせてくださるなんて思いもしませんでした。先生のご説明もとてもわかりやすく、本当に楽しかったです。能楽を違う角度から見ることができ、よかったと思います。

・プロの方直々に丁寧に教えてくださり、感動いたしました。舞台に上がったのも初めてでありがたい経験をさせていただき嬉しかったです。

・大好きな横浜能楽堂の舞台に立ち、楽屋でお稽古をつけていただき、本舞台で自分の太鼓の音をきき、夢のようです。

 

来年には、3日間で太鼓のお稽古と発表会を行う「3日でマスター!」も開催します。

1日では足りない!という方、今回参加できなかった方、応募をお待ちしております。

詳細はこちら

2022年04月24日 (日) 公演情報

横浜能楽堂催し物案内2022年5月~6月を発行しました。

横浜能楽堂館内で行われるイベントなどを掲載した「横浜能楽堂催し物案内」を隔月で発行します。

ただ今、5月8日(日)『横浜狂言堂』と6月26日(日)『第69回横浜能』のチケットを発売中です。

チケットはhttps://yokohama-nohgakudou.org からインターネットでご購入いただけます。

 

2022年5月~6月表面はこちら

2022年5月~6月裏面はこちら

 

はぜの木

2022年04月14日 (木) 内容

室内装飾織物のお話~再び~

横浜能楽堂館内に、とても美しい室内装飾織物があるのをご存知でしょうか?それらのうち、次の3種について以前にご紹介しました。

・玄関広間カウンター腰部&見所前室扉の疋田りんどう錦

・第二舞台前室飾り棚部の小丸龍

・装束の間地袋の有栖川錦

詳しくはこちら

 

その際にご紹介していなかった織物が館内の他の箇所にもありますので、室内装飾織物のお話を再びお届けします。

・B1Fホール天井の名物利休鈍子

地下の第二舞台前の格天井にある渋い渋い名物裂の文様です。5つの点からなる利休鈍子という梅の花のモチーフは、舞台の鏡板に梅が描かれているから選ばれたのかなと思います。格天井の格子に合わせて織の方向が異なるため、照明によって梅の花の色の見え方が微妙に異なるのが魅力です。

 

・歩廊天井のいちご裂(孔雀)

見所に入る前の歩廊の天井にあります。いちご裂は通常は丸い花文の連続模様のようですが、このいちご裂は孔雀が羽根を広げたモチーフの連続模様で、色合いが素敵です。歩廊を通るお客様はたくさんいらっしゃいますが、天井を見上げるお客様は多くはないのが残念でたまりません・・・。

 

・楽屋用玄関天井の萌黄地蓮華文錦

楽屋玄関の格天井にある蓮華文の華やかな織物です。ここも格天井の格子に合わせて織の方向が異なります。玄関から差し込む自然光により、蓮華文の色が異なって見えるから不思議です。壁紙にはない織物ならではの演出だと思います。

 

・地下応接室のインカ格子

洋間の応接室に和室のような地袋付の飾り棚があります。棚の壁面と地袋の戸襖に織物が貼られています。格子の中に動物や自然界の幾何学のモチーフが並んだもので、色がキュートです。この織物が、洋間としての応接室に和の設えをうまい具合に融合させているなあ~、と思います。

 

・地階資料室の珠光鈍子

資料室にある、下に収納扉の付いた飾り棚の内側に貼られた織物です。資料の図書が増えたことで飾り棚内部に書棚を後付けしたため、現在はその一部のみが見えます。牡丹唐草などが織り出された名物裂の文様の緞子です。幅が2mを超える大きな棚ですから、この内側に貼られた織物の全体像の迫力を想像して楽しんでいます。

 

横浜能楽堂の室内装飾織物はいかがでしたでしょうか?ご紹介したうちのいくつかは、施設利用や施設見学の際にご覧いただけます。

施設は、公演・発表会以外にも、古典芸能のお稽古や日本の伝統文化のサークル等で、どなたにもご利用いただけます。詳しくはお問い合わせくださいませ。

また、施設見学は第二木曜日10時~に開催しています。次回は5月12日(木) 10時~(事前予約制 受付開始4月15日(金)14:00)です。

受付はこちら

 

公演鑑賞はもちろん、施設利用や施設見学など、多くのお客さまのご来館を心よりお待ちしております。

 

はぜの木

2022年02月23日 (水) 能楽関連

横浜能楽堂催し物案内『橋がかり』2022年3月~4月を発行しました。

横浜能楽堂では館内で行われるイベントなどを掲載した情報紙を月一回定期発行しています。
今月号(2022年3月~4月)は3月から5月の主催公演と施設利用料金割引プラン等の情報を掲載しています。

 

施設利用料金割引プラン
「初めての朝割」・「初めてのU25割」・「応援割」

横浜能楽堂をより多くの方々にご利用いただくために、「初めての朝割」・「初めてのU25割」・「応援割」の3つの利用料金割引プラン(割引は最少1,000円から最大10,200円)をご用意しております。美しい和の空間で、お稽古はいかがですか。
※各プランの詳細・申込方法についてはお問い合せください。

 

<割引プランの種類>
■「初めての朝割」
当館のご利用が初めてのお客様対象の割引サービスです。年齢に関わらず平日午前のご利用が対象です。
■「初めてのU25割」
若い世代にもっと日本の伝統芸能に親しんでいただくための割引サービスです。大学能楽サークル等の25歳以下の初めてのご利用を対象とします。
■「応援割」
横浜能楽堂主催の「こども狂言ワークショップ」等にご参加の皆さまの自主稽古を応援。より能楽に親しんでいただけるようワークショップ受講中から終了後3か月まで割引料金でご利用いただけます。

 

施設利用について詳しくはこちら

 

『橋がかり』2022年3月~4月はこちら

 

はぜの木

2022年01月31日 (月) 能楽関連

横浜能楽堂催し物案内『橋がかり』2022年2月~3月を発行しました。

横浜能楽堂では館内で行われるイベントなどを掲載した情報紙を月一回定期発行しています。

今月号(2022年2月~3月)は2月から6月の主催公演と2月から3月に開催する見学会の情報等を掲載しています。

 

春の施設見学日

紅葉坂を登って、横浜能楽堂にお越しになりませんか?

横浜市の文化財に指定されている能舞台だけでなく、普段は入れない楽屋まで、ガイド付きでたっぷりご案内します。

 

 

◇日時:令和4年3月29日(火)①14:00~15:00 ②19:00~20:00

◇内容:能舞台と舞台裏見学

◇定員:各回20人(先着順)

◇参加費:無料

◇申込方法:令和4年2月11日(金)14:00から電話・HP・来館で受付。

(初日は電話・HPのみ)

※靴を脱いで見学する場所があります。靴下等をご持参ください。

詳しくはこちら

 

『橋がかり』2022年2月~3月はこちら

 

はぜの木

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