皆さんこんにちは。
すっかり季節の移ろいを感じられる今日この頃。
前回に引き続き、クラシックをメインに秋におススメの音楽と、そこから連想される雑多なものを今回も「主観的」にご紹介いたします(笑)
ではでは、
まずは音楽。
弦楽六重奏第1番 作品18 第1楽章
秋は懐古的で、もの哀しい雰囲気をイメージする私ですが特にお勧めなのがブラームス。1950年代の映画「恋人たち」で使用された影響で、「一部の方は」この曲の第2楽章はご存知かも知れませんが何と言っても白眉は第1楽章。長調で明るい調子のはずが、とてつもなく切なく甘美なテーマによって、美しい悲哀、のようなものが長調によって逆説的に、より印象づけられています。「青臭いのに渋い」という感覚は若かりし頃のブラームス特有のようです。
ちなみに、この曲を作曲した当時ブラームスは27歳。10歳以上年上でシューマンの妻であるクララ・シューマンへの恋心を燃やしている最中だったとのこと。
そんなブラームスの渋い音楽を聴きながら飲みたくなる飲み物も…
TWININGS 「Prince of Wales」
有名どころですみません…レディグレイでおなじみトワイニングの「お紅茶」でございます。
1921年、イギリスのエドワード8世の誕生を祝して配合されたパーソナルブレンドだそうです。(詳しくは知りません)
あまり、こだわりを持ってお茶を飲んだりしないのですが、このプリンスオブウェールズはおススメです。中国茶のようなオリエンタルな渋みの中に、独特のスモーキーな香りがブラームスの秋の雰囲気を彷彿とさせると、最近気付きました。
ミルクや砂糖・フレーバーシロップを入れたりせず、ストレートで夕食後にゆっくりと飲む為のようなものです。
ブラームス×紅茶=もの想いに耽る詩的な自分
みたいな感じです。
続いて…
C.フランク
ヴァイオリンソナタ イ長調
マイナーな作曲家ですみません。でも、非常に隠れた名曲です。
ヴァイオリンソナタの最高傑作とも謳われるこのソナタは全4楽章。ミステリアスなピアノ伴奏の、短い前奏に乗ってゆっくりと言葉を吐くようにヴァイオリンの旋律が語られて行きます。なんとも言えない官能的な音楽性と落ち着いた色彩感は、大人の秋を連想させられます…。
そんなフランクの音楽には、この人の詩。
北原白秋
東京景物詩より 「片戀」
1913年(大正2年)、白秋28歳の詩集。
「邪宗門」で顕著な耽美さは幾分おさえられており、曳舟や神保町・九段・日比谷・銀座…大正期の下町の風情から東京のモダンな情景がダンディに仕上がった詩集です。
「噴水」「瓦斯燈」といったワードが、個人的には妙にヨーロッパを感じさせるハイカラな作品。
フランクのダンディズムと呼応しているように感じるのはこの詩集の「片戀」です。
以下抜粋です、どうぞ。※抜粋だけだと和の雰囲気の方が強いかも知れませんが…
あかしやの金と赤とがちるぞえな
片戀の薄着のねるのわがうれひ
曳舟の水のほとりをゆく頃を
やわらかな君が吐息の散るぞえな
※こちらは團伊玖磨氏の作曲で「舟唄」として曲もつけられています。
さて、最後はこちら。
F.プーランク
12の即興曲 第12番「エディットピアフ讃」
フランス人作曲家プーランクという、またもマイナーな作曲家ですが、ぜひ秋にお聴き頂きたい一曲。メランコリックな雰囲気の中に、絶妙に織込まれた人生の悲喜こもごも…仕上げにパリの秋風をプラスしたような非常にフランスのエスプリに富んだ名曲です。どこか、黄昏る自分に酔っているような印象もまた、フランスらしい一曲。
そして、この曲にはこの絵!
藤田嗣治の有名な一枚。
「カフェにて」
独特の乳白色で有名な藤田嗣治。
雨の後なのか、雨が降る直前なのかどちらともとれるあいまいな空の背景に、鬱々とした表情にも無表情にも見える女性が佇んでいる一枚。意味あり気にテーブルに置かれた手紙のようなもの、季節感も、感情も、全て象徴的に見えて実は曖昧さを増している様は、観る側にインスピレーションを与える不思議なストーリー性を持っています。
メランコリック&悲喜こもごも…まさにプーランクの音楽の色彩に共通しています。
さて、このように今回は本能の赴くままに自分にとっての秋の音楽とその他のものを繋げてご紹介してみました。
今回のブログで気付いたのですが、ブラームスは27歳の作、白秋は28歳の作…
自分を過去の天才たちと比べるのもおこがましいのですが、26歳の秋、何か自分なりに挑戦してみようと決意してしまいました…余談ですみません
皆さんも、ご自身の「○○の秋」をぜひご堪能下さい(^-^)
DJひ○お