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2013年03月28日 (木) 公演情報

「古典芸能のつどい横浜」ご報告

平成23年9月3日横浜在住の古典芸能実演家の呼びかけにより実現した「東日本大震災チャリティ公演『古典芸能のつどい横浜』」。ツイッターで支援先など、状況をお知らせしておりましたが、ここに改めてご報告申し上げます。

チケット売り上げ・寄付・募金等併せて2,374,213円集まり、諸経費を差し引いた2,312,798円で、当初お知らせしておりました5団体に支援が終了しました。

支援物は、支援団体の方とも相談し、なるべく被災地にあるお店に発注するように努めました。「虎頭」だけは発注先が見つからず、実行委員でもある能面師の岩崎久人さんに依頼しました。

残金については、支援先決定にご協力いただいた「ふるさと岩手芸能とくらし研究会」へ寄付させていただきました。

「ふるさと岩手芸能とくらし研究会」の活動内容はこちらをご参照くださいませ。 http://torira.exblog.jp/

 1.支援先・支援内容について

1)大浦虎舞(岩手県山田町)

支援内容=虎頭2ケ、虎頭用幕類

 

 

 

 

 

 

2) 笹崎鹿踊保存会(岩手県大船渡市)

*支援内容=太鼓2調

    

 

 

 

 

3)永浜鹿踊り保存会(岩手県大船渡市)

*支援内容= 半纏15枚

   

 

4)中赤崎獅子舞保存会(岩手県大船渡市)

*支援内容=半纏35枚、ズボン54枚

   

  

5)雄勝法印神楽(宮城県石巻市)

  *支援内容=ザイ5つ

          

 

2.去る10月21日~22日に、実行委員を代表して山井綱雄さんと児玉清子さんが支援した5団体のうち、岩手の4団体を訪問して来ました。

 

【大浦虎舞】

訪問に合わせ、大浦虎舞のみなさんが霞露ヶ岳神社にて虎舞を披露して下さいました。(虎頭は2号くんが登場していました)

和藤内が虎を退治した後、大人の囃子に乗って子どもたちによる刺鳥舞です。

  

 

山井綱雄さんが返礼に「羽衣」の一節を謡ったのちに、記念撮影。

 

     

 

 

虎頭は張り子で作られたものが多い中、大浦虎舞の虎頭は木でできています。そのため現地で作れる人が探せず、岩崎久人さんにお願いすることになりました。大きな桐材を探すのも大変だったようです。メンバーの中には、新しくやってきたハンサムな虎頭くんたちを「ずっと眺めていたくて、部屋中に写真を貼っています!」と仰る方もいらっしゃいました。

 

大浦虎舞と岩崎さん(や私)との出会いは「ふるさと岩手芸能とくらし保存会」の「とりらブログ」でご覧ください。

http://torira.exblog.jp/16753304/

http://torira.exblog.jp/16581917/

 

 大浦のお祭りは3年に1度で、今年2013年がまさにその年に当たります。しかし、昨年の夏に虎頭が届いたことで、昨年9月に復活のお祭りを行うことに決めたそうです。「とりらブログ」に復活当日のエントリーがありますので、ぜひご覧ください。

http://torira.exblog.jp/17954282/

 

そして、今年は9月第1週目の9/7(土)周辺で開催されるようです!大浦虎舞保存会の方々より「ぜひみなさん見に来て下さい!」とのことですので、詳細が分かりましたら、また能楽堂ツイッター等でお知らせします。

 

 

 

【 中赤崎獅子舞保存会】 

  中赤崎漁村センターにて田中勘一郎会長とお会いしました。震災時には、高台にあるこの漁村センターが避難所になっていたそうです。

   

獅子頭などのお道具類などを見せていただきました。今回支援したズボンと半纏は「寄贈 古典芸能のつどい横浜実行委員会」と書かれたクリアケースの中にきれいに納められていました。獅子頭は瓦礫の中からいくつか見つかり、地元の木ばくり工房さんで修理していただいたそうです。

木ばくり工房さんもとりらブログにてご覧ください。

http://torira.exblog.jp/16585066/ 

 震災前の写真などを見ながら、震災のこと、権現様(獅子舞)のこと、芸能のこと、さまざまなお話を伺いました。

   

 中赤崎獅子舞は、お正月の獅子舞で、権現様と呼ばれています。1月1日の朝から各家を回って、悪魔祓いをします。お迎えする家ではお神酒、ビール、ジュースのほか、黄色やピンクや赤など色のついた手ぬぐい(今はタオルが多い)、お菓子を準備して待つそうです。震災前には5地区500世帯も回っていたそうです。にぎやかな光景が目に浮かびます。

そこから、話は移り、なんと田中会長は謡を大蔵流で習っているとのこと。

「大蔵流?お狂言ですか?」とお尋ねすると、

「いえいえ。能の小謡です。『高砂』などがあります」と。

するとすかさず山井綱雄さんが「伊達藩お抱えだったシテ方金春流の流れを汲む流儀で大蔵流があると聞いたことがあります。でも、お稽古なさっているかたにお会いするのは初めてです」と教えて下さいました。

岩手の芸能王国ぶりを改めて知った瞬間でした。

 

 

【永浜鹿踊り保存会】 

金野勝也会長の案内で、永浜地区にある仮の稽古場と、引き渡し間近の新規の稽古場兼倉庫を見せていただきました。仮の稽古場は、津波で被災し、住めなくなった会員の家を稽古場としてお借りしているとのこと。新規の稽古場兼倉庫は宝くじの助成で建てられたそうです。これまでよりも高台に作られました。

   

   

助成金やさまざまな支援を得て、永浜鹿踊りも復活しました。この時はアブダビ公演に向けて練習に励まれておられました。

 

【笹崎鹿踊り保存会】 

笹崎鹿踊り保存会の佐藤正志会長宅へは、永浜鹿踊りの金野会長に車で先導していただきました。そして、永浜鹿踊りの金野会長とともに笹崎南公民館にて佐藤会長と面会。佐藤会長と山井さんは前月に若手能楽師による「息吹の会」のチャリティ公演にてお会いしていたこともあり、話が弾んでいらっしゃいました。その後、鹿踊りのささらや頭を見せていただきました。このささらは、なんと佐藤会長が作っていらっしゃるそうです。鹿頭も保存会メンバーで作っていらっしゃるのを、見せていただきました。

先ほどと同じとりらブログの前半部をご覧ください。

http://torira.exblog.jp/16585066/ 

 今回の訪問では行く先々で歓迎を受け、復活に至るまでのお話をうかがい、遠く横浜からの支援をどの団体の方も喜んで下さっていることを知りました。どの団体の方もぜひ支援して下さったみなさまに「自分たちの芸能を観ていただきたい」と仰っていました。山田町も大船渡市も現在は交通手段が限られていて、大変行きづらくなっていますが、今後のお祭り情報や出演情報もお知らせして行けたらと思っております。ぜひ、横浜から大挙して見に行きたいですね。

今回の実行委員代表の山井さんと児玉さんの支援団体訪問をもって、「東日本大震災チャリティ公演 古典芸能のつどい横浜」の活動は一区切りとなりますが、これで終わりではなく、これからもこのご縁を大切に何かできることを考えて行きたいと考えています。

公演を見に来て下さったみなさま、ツイッター等で告知にご協力くださったみなさま、ご支援をいただいた皆様、本当にありがとうございました。全ての皆様に感謝申し上げます。

 

古典芸能のつどい横浜実行委員会

 熊谷敬子(横浜能楽堂)

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