スタッフブログ

2021年07月14日 (水) 能楽関連

横浜能楽堂開館25周年記念「身近に親しむ能楽堂」を開催しました。

横浜能楽堂は、1996(平成8)年6月に横浜市の掃部山(かもんやま)公園内に開館。2021(令和3)年6月に25周年を迎えました。周年記念として感謝の気持ちをこめて「身近に親しむ能楽堂」を開催しました。3つのプログラムにのべ627名もの多くの方にご参加いただきました。ご来館いただきました皆さま、ありがとうございました。当日の様子をお伝えします。

 

■芸術監督のミニ講座

横浜能楽堂芸術監督の中村雅之より、能の成立前からあった翁猿楽、室町、桃山、江戸、明治の各時代の能舞台と能楽のおはなしをしました。30分という限られた時間に、凝縮した650年の能楽の長~い長~い歴史を感じていただけましたでしょうか。さらに詳しくは10月24日(日)に開催予定の「芸術監督による能楽入門講座」をご期待ください。

 

■仕舞鑑賞

梅若紀彰さん (観世流) による仕舞をご覧いただきました。地謡は川口晃平さん、内藤幸雄さん(観世流)でした。

 

 

能の一曲はいくつも小段によって構成されています。同じ「羽衣」でも13:45~の回では「羽衣 クセ」の部分を、15:00~の回では仕舞「羽衣 キリ」の部分を予定していたのですが、急遽紀彰さんのお取り計らいにより、どちらの回もクセとキリをご鑑賞いただきました。13:45~の回は、「羽衣 クセ」、「熊坂」、「羽衣 キリ」、15:00~の回では「羽衣 キリ」、「鵺(ぬえ)」、「羽衣 クセ」の順番でした。紀彰さんは曲に合わせて袴の色を替えていました。また、サプライズとして舞台上で一部装束や面をつけてご覧いただくシーンもありました。フォトセッションコーナーもあり、多くの方がスマートフォンで撮影していらっしゃいました。思い出に残る写真をお撮りいただけましたでしょうか。

 

■小鼓体験

岡本はる奈さん(観世流)に講師をお願いしました。和楽器体験ができる催しの機会はあまりないためいつも大人気です。今回も各回6名の定員にすぐ達してしまいました。ご参加いただけた方はラッキーだと思います。20分のプチ体験でしたが、これをきっかけに能楽や能楽堂に興味をもっていただけたらと思います。

 

ご参加いただいた皆さまには、新型コロナウイルス感染症対策にご協力いただきありがとうございました。短い時間でしたが能楽堂を身近に感じてお楽しみいただけましたら嬉しいです。

 

8月16日(月)には全館を開放した「伝統文化一日文化オープンデー」を開催します。只今参加者募集中です。

詳しくはこちら

ではまたのご来館を心よりお待ちしております。

 

はぜの木

2021年07月04日 (日) 能楽関連

横浜能楽堂催し物案内『橋がかり』2021年7月~8月を発行しました。

横浜能楽堂では館内で行われるイベントなどを掲載した情報紙を月一回定期発行し、他の公共施設や友の会会員様向けに送付しています。

今月号(2021年7月~8月)は7月から10月の主催公演と8月16日の「伝統文化一日体験オープンデー[速報]」、歴史ある本舞台を独占!「いつでも本舞台でお稽古」のご案内などの情報を掲載しています。

「伝統文化一日体験オープンデー」は今年度で3回目の催し。仕舞鑑賞、和楽器体験、ものづくりなどさまざまなプログラムを館内各所で行う全館オープンデーです。申込は7月10日(土)14:00~、詳しくはお知らせ欄でご確認ください。

 

『橋がかり』2021年7月~8月はこちら

 

はぜの木

2021年05月29日 (土) 能楽関連

横浜能楽堂催し物案内『橋がかり』2021年6月~7月を発行しました。

横浜能楽堂では館内で行われるイベントなどを掲載した情報紙を月一回定期発行し、他の公共施設や友の会会員様向けに送付しています。このたび、スタッフブログにもデータ版を掲載することにしました。

今月号(2021年6月~7月)は6月から10月の主催公演と8月の「こども狂言ワークショップ~入門編~」募集案内、6月の「開館25周年記念 身近に楽しむ能楽堂」などの情報を掲載しています。ぜひご覧くださいませ。

 

『橋がかり』2021年6月~7月はこちら

 

はぜの木

2021年03月05日 (金) 能楽関連

「能楽師(太鼓方)が案内する横浜能楽堂見学と太鼓ワークショップ」を開催しました。

横浜能楽堂では平成30年度より能楽師が舞台や楽屋を案内して能楽の体験をしていただく催しを実施しています。今年度は狂言方と太鼓方によるご案内で、2月23日(火・祝)に「能楽師(太鼓方)が案内する横浜能楽堂見学と太鼓ワークショップ」を開催しました。講師は、太鼓方金春流の梶谷英樹さんです。ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました。当日の様子をご紹介します。

 

まず初めに、本舞台の見所で梶谷さんのデモンストレーションを鑑賞しました。
太鼓の音と掛声のみなのですが、ものすごい迫力にまず圧倒されました。

 

その後に囃子方の4種の楽器、能舞台と能の歴史についてのお話を聞きました。
囃子方のハヤスという漢字には、「栄やす/映やす」という字があるように、囃す相手を映える/映えるように囃すという意味があるそうです。太鼓は4種の楽器のリーダーで指揮者役、能の後半のメインの場面で演奏します。
横浜能楽堂の本舞台の歴史の中で、旧高松藩松平家にあった染井時代には、梶谷さんの師である22世宗家金春惣右衛門さん、23世國和さんがお住まいになっていたことがあり、梶谷さんのお祖父様、お父様もお稽古に通っていたのだそうです。梶谷さんにとっては、この舞台にはとてもご縁があり親しみを感じる、というお話が印象的でした。

 

そして、白足袋に履き替えて楽屋に移動し、焙じ室・楽屋・鏡の間を見学しました。
鏡の間では、公演が始まる際の囃子方が楽器の音色の調子を合わせる「お調べ」の座る順番や、幕を左右両方ともに上げる「本幕」で出入りすることは太鼓方はありませんが、たった一曲だけ太鼓方が本幕で戻る重い曲「朝長 殲法」のお話など、囃子方からみた能のお話を聞きました。
続いて、公演時に囃子方が舞台に出る際と同じように幕を左の片方だけ上げる「片幕」にして参加者の皆さんが本舞台へ。

 

舞台の上で太鼓方から見た舞台の説明を聞きました。例えば、シテが舞台に出てきて止まって謡い出す場所を橋がかりにある一の松にするか、本舞台の常座にするかは事前に打合せをしており、一の松はとても重要な目印となるなど、太鼓方ならではのお話もあり興味深かったです。
また、太鼓方は能の公演では本舞台中央に座ることは無いため、梶谷さんはデモンストレーションではいつもと景色が違い、緊張していました、とのことでした。

 

後半は舞台から楽屋に移動して太鼓体験です。
太鼓を打つ前に、太鼓の組み立てを見学しました。太鼓は牛の革と欅の木の胴と縦と横の調べ緒、樫の木の台から構成されます。

 

組み立ては、縦の調べ緒を手繰り寄せて解いて結んで、また手繰り寄せて解いて結んで、を何度も繰り返しきつく締め上げます。かなり締め上げたところで音を確認して、今度は横の調べ緒をきつく締め上げます。なんと力のいる作業なんでしょうか~。本当に太鼓方は道具の準備の段階から既に体力勝負です。一般には薄い革を好む方が多い中、梶谷さんは特に厚い革をきつく締め上げた音がお好きだとのこと。楽器屋さんから厚い革の入荷があると連絡が入るそうです。

 

いよいよ太鼓を打つ体験の始まりです。
小の撥、中の撥、大の撥の打ち方と掛け声の組み合わせをお稽古します。太鼓の打音と掛声を一定の順序に配列した手組を記した『金春流太鼓粒附』にある「オロシ」、「打込」などをグループで打ち、さらに一人で打ちました。

 

楽屋でのお稽古体験の後には、一人ずつ舞台に上がり太鼓を打つという緊張の瞬間です。舞台の上では頭が真っ白になりました、という参加者もいらっしゃいました。

 

アンケートでいただきましたコメントをご紹介します。
・作法や打ち方を学べて良かったし、先生もとてもステキでした。舞台でやれたのも良かったです。
・梶谷先生から直にお話を伺えて、とても分かりやすく、能が身近に感じられました。舞台に上がった時は、気持ちが舞い上がりました。
・新しい発見があり、楽しい時間でした。ありがとうございました。
・こんなに詳しく打ち方を教えていただけると思っていなかったので楽しかったです!舞台上にもあがれて貴重な経験ができました。

 

マスクを取って集合写真をパチリ。皆さま、緊張のあとの充実したいい表情です。

ご参加いただいた皆さま、コロナ禍での開催でいろいろと運営にご協力いただきありがとうございました。横浜市の文化財に指定されている本舞台を独り占めした気分はいかがでしたでしょうか。非日常の貴重な思い出にしていただけましたらとても嬉しいです。
ではまたのご来館をお待ちしております。

 

はぜの木

2021年01月30日 (土) 日々の出来事

横浜・紅葉ケ丘まいらん連携事業「日本画(板絵)体験と横浜能楽堂見学」を開催しました。

令和3年1月16日(土)に「日本画(板絵)体験と横浜能楽堂見学」を開催しました。講師は日本画家の武田裕子さんにお願いし、横浜市民ギャラリーにもご協力いただきました。ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました。当日の様子をご紹介します。

 

まずは、これから描く梅の描かれた本舞台の「鏡板」を見学しました。140年余りの歴史ある鏡板です。松とともに梅が描かれているところが特徴です。目に焼き付けたところで、本舞台と同じ図柄の鏡板のある第二舞台に移動して日本画体験を行いました。

 

絵を描く葉書サイズの板は、木目や色合いの異なる杉、米松、樫、樅の4種を用意しました。まずは板選びからです。

 

そして、「鏡板」を見ながら葉書サイズの板に下絵を描きました。一から描いてもよし、武田さんのお手本をなぞってもよしです。

 

下絵ができあがったところで日本画特有の絵具などの説明がありました。
絵具の材料となる天然岩絵具岩石標本を武田さんにお持ちいだたきました。自然界にこんなに様々な色があるのですね。いつまでも眺めていたい美しさです。

 

これらを粉状にしたものが岩絵具です。例えば、「マラカイト」から緑青(りょくしょう)が、「アズライト」から群青(ぐんじょう)の粉ができます。粉の大きさにより細かいものは薄い色に、粗いものは濃い色になるそうです。粒子径により番手表示があり、番手が大きいほど細かいそう。白緑(びゃくろく)は最も細かいそうです。この粒子に膠(にかわ)を混ぜて絵具ができあがります。
膠は動物の骨や皮を細かくして煮詰めた煮凝り状のものを乾燥させたものです。これをヒーターで温めると液体状になり先の粒子に混ぜると絵具のできあがりです。
実際に当日、白緑に膠を混ぜて絵具も作る様子を見ました。

 

白色は、胡粉(ごふん)という板甫牡蠣(いたおがき)の殻の裏側を粉状にしたものです。こちらも膠を混ぜて絵具ができるまでを実演していただきました。混ぜた塊を小皿に何度も叩きつけて練っていきます。これを「百叩き」というそうです。

 

さらに墨を摺って、この日に使用する絵具のできあがりです。日本画の絵具とは、なんと手間ひまかけて作るのでしょうか・・・。驚くばかりです。

 

そして、いよいよ武田さんにお手本を描いていただきました。梅の枝のような植物は根元から枝先へ向かって描いていくそうです。墨が乾く前に白緑を軽く置く「垂らしこみ」という技法により、枝の苔を表現します。梅の花の白色は複数回重ねずに一回で描くと乾いたときにふっくらした花びらになるそうです。プロの筆さばきはとても美しかったです。

 

参加者の皆さんの手元もフォーカスしてみました。皆さん真剣に描いていました。


 

最後の仕上げは絵具を乾燥させてから行うために、その乾燥時間を活用して施設見学に出かけました。普段入ることのできない鏡の間や楽屋を見学し、そして、横浜市の文化財である本舞台の歴史ある鏡板を切戸口から間近に見ていただきました。板絵の仕上げの参考になりましたでしょうか・・・。

 

乾燥した頃に第二舞台に戻り、いよいよ仕上げです。最後は梅の花の真ん中に「しべ」をちょんちょんと金色で描きます。金色の絵具はさすがに金粉を使用すると高価すぎるためにポスターカラーです。これで完成!墨と白緑と胡粉の岩絵具によるシンプルな図柄ですが、異なる板の種類と異なる下絵と異なる筆のタッチにより、皆さん個性的な仕上がりでした。

 

マスクを外して記念撮影、皆さん、達成感に満ちたとてもよい表情です。

 

ご参加いただいた皆さま、緊張がとけない日々が続いておりますが、少しでも心が柔らかくなるような時間をお過ごしいただけましたでしょうか。そして、お手元の板絵を見て横浜能楽堂の鏡板を思い出していただけましたら嬉しいです。またのご来館を心よりお待ちしております。

 

P.S.
2月4日(木)~8日(月)に武田さんの日本画とちりめんドレスのコラボレーションによる、武田裕子×ESKIWA 特別企画展「ハルフルハナノコエ」が開催されます。場所などの詳細情報は武田さんのtwitterでご確認くださいませ。

はぜの木

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