スタッフブログ

2022年04月14日 (木) 内容

室内装飾織物のお話~再び~

横浜能楽堂館内に、とても美しい室内装飾織物があるのをご存知でしょうか?それらのうち、次の3種について以前にご紹介しました。

・玄関広間カウンター腰部&見所前室扉の疋田りんどう錦

・第二舞台前室飾り棚部の小丸龍

・装束の間地袋の有栖川錦

詳しくはこちら

 

その際にご紹介していなかった織物が館内の他の箇所にもありますので、室内装飾織物のお話を再びお届けします。

・B1Fホール天井の名物利休鈍子

地下の第二舞台前の格天井にある渋い渋い名物裂の文様です。5つの点からなる利休鈍子という梅の花のモチーフは、舞台の鏡板に梅が描かれているから選ばれたのかなと思います。格天井の格子に合わせて織の方向が異なるため、照明によって梅の花の色の見え方が微妙に異なるのが魅力です。

 

・歩廊天井のいちご裂(孔雀)

見所に入る前の歩廊の天井にあります。いちご裂は通常は丸い花文の連続模様のようですが、このいちご裂は孔雀が羽根を広げたモチーフの連続模様で、色合いが素敵です。歩廊を通るお客様はたくさんいらっしゃいますが、天井を見上げるお客様は多くはないのが残念でたまりません・・・。

 

・楽屋用玄関天井の萌黄地蓮華文錦

楽屋玄関の格天井にある蓮華文の華やかな織物です。ここも格天井の格子に合わせて織の方向が異なります。玄関から差し込む自然光により、蓮華文の色が異なって見えるから不思議です。壁紙にはない織物ならではの演出だと思います。

 

・地下応接室のインカ格子

洋間の応接室に和室のような地袋付の飾り棚があります。棚の壁面と地袋の戸襖に織物が貼られています。格子の中に動物や自然界の幾何学のモチーフが並んだもので、色がキュートです。この織物が、洋間としての応接室に和の設えをうまい具合に融合させているなあ~、と思います。

 

・地階資料室の珠光鈍子

資料室にある、下に収納扉の付いた飾り棚の内側に貼られた織物です。資料の図書が増えたことで飾り棚内部に書棚を後付けしたため、現在はその一部のみが見えます。牡丹唐草などが織り出された名物裂の文様の緞子です。幅が2mを超える大きな棚ですから、この内側に貼られた織物の全体像の迫力を想像して楽しんでいます。

 

横浜能楽堂の室内装飾織物はいかがでしたでしょうか?ご紹介したうちのいくつかは、施設利用や施設見学の際にご覧いただけます。

施設は、公演・発表会以外にも、古典芸能のお稽古や日本の伝統文化のサークル等で、どなたにもご利用いただけます。詳しくはお問い合わせくださいませ。

また、施設見学は第二木曜日10時~に開催しています。次回は5月12日(木) 10時~(事前予約制 受付開始4月15日(金)14:00)です。

受付はこちら

 

公演鑑賞はもちろん、施設利用や施設見学など、多くのお客さまのご来館を心よりお待ちしております。

 

はぜの木

2022年02月23日 (水) 能楽関連

横浜能楽堂催し物案内『橋がかり』2022年3月~4月を発行しました。

横浜能楽堂では館内で行われるイベントなどを掲載した情報紙を月一回定期発行しています。
今月号(2022年3月~4月)は3月から5月の主催公演と施設利用料金割引プラン等の情報を掲載しています。

 

施設利用料金割引プラン
「初めての朝割」・「初めてのU25割」・「応援割」

横浜能楽堂をより多くの方々にご利用いただくために、「初めての朝割」・「初めてのU25割」・「応援割」の3つの利用料金割引プラン(割引は最少1,000円から最大10,200円)をご用意しております。美しい和の空間で、お稽古はいかがですか。
※各プランの詳細・申込方法についてはお問い合せください。

 

<割引プランの種類>
■「初めての朝割」
当館のご利用が初めてのお客様対象の割引サービスです。年齢に関わらず平日午前のご利用が対象です。
■「初めてのU25割」
若い世代にもっと日本の伝統芸能に親しんでいただくための割引サービスです。大学能楽サークル等の25歳以下の初めてのご利用を対象とします。
■「応援割」
横浜能楽堂主催の「こども狂言ワークショップ」等にご参加の皆さまの自主稽古を応援。より能楽に親しんでいただけるようワークショップ受講中から終了後3か月まで割引料金でご利用いただけます。

 

施設利用について詳しくはこちら

 

『橋がかり』2022年3月~4月はこちら

 

はぜの木

2022年01月31日 (月) 能楽関連

横浜能楽堂催し物案内『橋がかり』2022年2月~3月を発行しました。

横浜能楽堂では館内で行われるイベントなどを掲載した情報紙を月一回定期発行しています。

今月号(2022年2月~3月)は2月から6月の主催公演と2月から3月に開催する見学会の情報等を掲載しています。

 

春の施設見学日

紅葉坂を登って、横浜能楽堂にお越しになりませんか?

横浜市の文化財に指定されている能舞台だけでなく、普段は入れない楽屋まで、ガイド付きでたっぷりご案内します。

 

 

◇日時:令和4年3月29日(火)①14:00~15:00 ②19:00~20:00

◇内容:能舞台と舞台裏見学

◇定員:各回20人(先着順)

◇参加費:無料

◇申込方法:令和4年2月11日(金)14:00から電話・HP・来館で受付。

(初日は電話・HPのみ)

※靴を脱いで見学する場所があります。靴下等をご持参ください。

詳しくはこちら

 

『橋がかり』2022年2月~3月はこちら

 

はぜの木

2021年12月26日 (日) 能楽関連

横浜能楽堂催し物案内『橋がかり』2022年1月~2月を発行しました。

横浜能楽堂では館内で行われるイベントなどを掲載した情報紙を月一回定期発行し、他の公共施設や友の会会員様向けに送付しています。

今月号(2022年1月~2月)は1月から3月の主催公演と1月から2月に開催する見学会の情報等を掲載しています。

 

横浜・紅葉ケ丘まいらん連携事業

2022年1月23日(日)10:00〜15:00

横浜能楽堂近隣の文化施設5館が連携して紅葉ケ丘周辺の魅力を発信する「まいらん」のイベントです。

「つくってあそぼう!横浜市民ギャラリーのアトリエがやってくる!」(会場:横浜能楽堂2階 旧レストランスペース)、「まいらんさんぽで音楽堂クイズ!」(会場:神奈川県立音楽堂ミーティングルーム)他。参加費無料で気軽にお楽しみいただけます。

詳しくはこちら

 

『橋がかり』2022年1月~2月はこちら

 

はぜの木

2021年12月22日 (水) 能楽関連

「日本画(板絵)体験と横浜能楽堂見学」を開催しました。

令和3年12月10日(金)に「日本画(板絵)体験と横浜能楽堂見学」を開催しました。
講師は日本画家の武田裕子さん。横浜能楽堂の能舞台にある「鏡板」を見ながら、墨、胡粉(ごふん)、白緑(びゃくろく)を使って葉書サイズの板に梅を描きました。
ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました。当日の様子をご紹介します。

 

まずは杉・檜・樅など数種類の板から好きな板を選んで下絵を描きます。

 

次に絵の具のつくり方の説明です。
墨は武田さんの愛用の丸い硯で摺ります。
胡粉は牡蠣の貝殻の裏側から作った粉に水と溶かした膠を混ぜて練っていきます。そして練って丸めた胡粉を小皿に何度も何度も叩きつけます。「百叩き」いう言葉があるそうで、これがなかなか大変な手間です。

 

 

 

胡粉について参加者からこんな質問があり、武田さんにお答えいただきました。

 

Q1. なぜ胡粉は叩くのですか?
A1. 空気を抜いて膠と胡粉が混ざりやすくするためです。

 

Q2. なぜ胡粉が絵具の材料に選ばれたのですか?
A2. 白には鉛の白、白土などありますが、それらの中では胡粉はふわっとした感じで白の発色が鮮やかで柔らかい雰囲気なので、その質感が好まれたのではないかと思います。また、加工のしやすさ、地理的に入手がしやすかったことから室町時代から白の主流でした。

 

手間ひまかけて絵の具の準備ができたらいよいよ色をつけていきます。枝は墨で描き、その上に「垂らしこみ」という技法を使い白緑で苔を表現します。

 

花びらに仕上げの金と白緑を載せるためには胡粉の部分を乾かす必要があるため、その時間を活用して能楽堂見学をしていただきました。

 

見学から戻り、乾いた白い胡粉の上に梅の花のしべを描いて仕上げです。

 

仕上がった作品は、枝がとても繊細な方、花をたくさん咲かせた方、お手本に忠実に描いた方などなど、皆さま、それぞれに個性がありました。背景の板の木目も一枚として同じものはありませんから、世界で1枚だけの作品に仕上がりました。

 

アンケートにも多数ご協力いただきありがとうございました。一部をご紹介します。

 

・大変分かりやすく教えていただき、とても楽しかったです。舞台裏ツアーも貴重な体験でした。板も種類が選べて嬉しかったです
・絵の具のつくりかたから能や狂言のことまで幅広く見て知ることができてとても有意義な時間でした。日本画のストイックさと大変さは本当にすごかったです。
・日本画の武田先生はとても人当たりの素敵な方でどんな質問にも答えていただいて、日本画の奥深い凄い世界についての一端を知ることができました。他の参加者の方も勉強熱心な感じの方が多く質問されている内容からも色々な知識を知ることができて良かったです。

 

講師の武田さん、お手伝いをいただいた横浜市民ギャラリーの大岩さん、平町さん、そしてご参加いただいた皆さま、本当にありがとうございました。またの機会にお会いできるのを楽しみにしております。

 

はぜの木

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